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論より倉庫

老婆は、テーブルの横のソファーに腰かけていた。

きょん姉さん「コーヒーがいいですか?緑茶がいいですか?」

「緑茶を、おねがいします」

「あっ、そうか。お茶もコーヒーも無かったんだわ」

福之助「わたし、買って来ましょうか?」

「セグウェイで?」「はい」

隆二が訪ねて来た。

「高田さん、根占さん、こちらにいるんですって?」

「はい」

「悪いですねえ」

「いいんです。一人で寂しかったんです」

「そうですか・・」

「隆二さん、お茶の葉、あります?」

「茶っ葉ですか?」

「ちゃっぱ?お茶の葉です」

「ありますよ。関東では、茶っ葉って言うんですよ。今、持って来ます」急いで戻って行った。

救急車が走っていた。

「また、救急車だわ」

老婆

「最近、多いですねえ」

「横須賀のほうもですか?」

「はい、多いです」

きょん姉さんは、笑いながら部屋を眺めていた。

「部屋の中も丸いのねえ・・」

隆二が戻って来た。

「お待たせ~~、静岡の無農薬の茶葉」

「ありがとうございます。代金、払いますよ」

「いいんですよ。ドームハウスに入ってくれた、お礼です」

「いろいろと、すみません」

「根占さん、何か言ってました?」

「いいえ、何も。緑茶が飲みたい、とだけ」

「ああ、それで、お茶を」

「はい。でも、湯沸かしもティーポットもなかったんだわ」

「あっ、そうか。ティーカップはあるんですね?」

「はい」

「鍋は?」

「あります・・」

「じゃあ、それで、湯を沸かしておいてください。ティーパックを持って来ます」

隆二は、再度戻って行った。

福之助

「姉さん、フライパがありますよ。お皿とか茶碗も」

「さっき見た」

鍋て湯を沸かしていると、隆二が戻って来た。

「はい」

「どうもありがとうございます」

姉さんは、ティーパックをティーカップに入れ、鍋の湯を注いだ。

「根占さん、緑茶です。どうぞ」テーブルの上に置いた。

老婆「どうもありがとう」

「まだ、熱いですよ」

「はい」

隆二

「根占さん、元気そうで良かった。何か困ったことはありませんか?」

「ありません。大丈夫ですよ。ここは、高野山ですか?」

「はい、そうですよ」

「弘法大師の高野山?」

「はい」

「どうして、わたしは、ここにいるんでしょう?」

「ひょっとして、根占さんの行きたかったところなのでは?」

「はい、そうです。高野山で弘法大師のいる場所で死にたいと思っていました」

「なるほど。そういうことだったんですか」

「なにか・・?」

「強く念じると、宇宙人が願いをかなえてくれることがあるらしんですよ」

「ほんとうですか?」

「はい」

きょん姉さん

「隆二さんは、ときどき面白いことを言いますねえ」

「そうですか?これでも科学者なんですけれどね」

「変わった科学者だわ」

「科学者でも、変な発明家ですからねえ」

老婆

「程塚さん、発明家なんですか?」

「はい、そうです」

「わあ、かっこいい!」

「かっこいい?そうですか?」

「高野山に行けば、幸せになれるような気がしまして・・」

「なるほど・・」

「南無大師遍照金剛、南無大師遍照金剛」

隆二は

「じゃあ、また明日来ます!よろしく!」と言って、帰って行った。

福之助もソファーに座っていた。

「ロボット、初めて見たわ」

福之助「そうですか?」

「わあ、綺麗に喋るのねえ!」

「はい」

「ふ~~~ん」

老婆は、珍しそうに、福之助をじろじろと見ていた。

「太い指ねえ」

「はい」

「じゃんけん、できる?」

「はい」

「じゃあ、やりましょう」

「はい」

「じゃんけん、ぽん!」

「わあ、負けちゃった!」

「おもしろいわねえ」

「そうですか?」

「25足す26は?」

「51です・・」

「じゃあ、533引く267は?」

「266です」

「君子危うきに・・」

「君子危うきに近寄らず」

「わあ、凄いわあ!」

「大した事ありません」

「気に入ったわ。お友達になりましょう」

「はい」

「論より・・」

「論より倉庫、じゃなくって、証拠」

「駄洒落もできるのね、おもしろいわ~~」

「まだできますよ。論より、そこ!」

「おもしろいわ~~!」


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