寒風が吹き、日が沈もうとしていた。
老婆「お嬢ちゃんは、お名前は?」
「あゆみでええ~~す」
「何歳なの?」
「6歳でええす」
「将棋できるなんて、偉いわねえ」
「そうですか?」
アキラ
「おっ、あゆみちゃん、負けそうじゃん」
「この人、見たこともない、変な戦法を使うんだもん」
「ふ~~~ん?」
毬藻「今は今、明日は明日の風が吹く、ってね」
老婆「毬藻さんは、宇宙人の方で?」
毬藻「違いますよ~~」
あゆみ「変な将棋をするから、絶対に宇宙人だわ」
毬藻は笑っていた。
老婆「わたしを、ここに連れて来た宇宙人、御存じですか?」
「いいえ、知りません」
「毬藻さん、若く見えますけど、おいくつですか?」
「たしか、520歳だったかなあ?」
老婆「ええ~~~!?」あゆみと老婆は、びっくりしていた。が、よう子とアキラは笑っていた。
毬藻「宇宙人は、千歳くらい生きるんですよ」
あゆみ「そんなに生きるの~~?」
よう子
「毬藻さん、子供に嘘を教えたらいけませんわ」
「大丈夫なんです、人は幼くても、嘘か本当かは、第六感で分かるんですよ」
「そうなんですか」
「危ないときには、なんとなく分かるでしょう」
「そうですねえ」
「今度のワクチンなんかも」
「はい、直観的に分かりました」
「本能とは、そういうものです」
アキラ
「打った奴は、そういう能力がないってことだ」
毬藻「そういうことになりますね」
隆二
「そうだ、せっかくだから、みんなで記念写真を撮りましょう!」
ショーケン「それは、いいねえ」
隆二は、みんなが写るところまで下がった。
「はい、チーズ!」
あゆみ「バタ~~!」
よう子「バターじゃなくって、チーズですよ」
「そうなんだ?どっちも、牛乳から作るんでしょう?」
「そういう問題じゃないのよ」
「どういう問題?」
「チーズと言うと、笑顔になるのよ。バターじゃ、ならないでしょう」
「バタ~~・・、チーズ、、ほんとだ!」」
撮影が終わると、隆二は戻って来た。
「さて、わたしも、食べるかな・・」
アキラ
「隆二さん、撮ったの見せて」
「ああ、いいよ」
隆二は、スマホを手渡した。
「あっ、忘れてた。自転車のパンクの修理」
アキラ「俺、やってやろうか?食事が済んだら」
幻魔教団の一人
「わたしにやらせてください。パンクの修理、得意なんです」
隆二
「ああ、そうなんですか。じゃあ、食べ終わったら、お願いします」
「自転車は、どこに?」
「7番のドームハウスの前に止めてあります。道具と一緒に」
「分かりました」
みんなは、40分ほどで食べ終わったが、将棋は、まだ続いていた。まだ食べながら、
毬藻「あゆみちゃん、粘り強いねえ~~」
あゆみ「わたし、詰将棋が得意なんです」
「じゃあ、これから気を付けないとなあ」
「そうですよ~~」
アキラ
「まだ終わらないの~~?」
毬藻「これで、、終わりですね、王手!」
あゆみ「負けちゃった~~!」
毬藻「だけど、あゆみちゃん、強いねえ~~、将来、きっとプロになるよ」
「そうですか?」
「絶対に、なる。守りが、ちょっと弱いかな」
「どうやったら、強くなれますか?」
「遊びながら守る、かな?」
「遊びながら、ですか?」
「そう、からかいながら、冷静に守る」
「あっかんべ~~~!って感じですか?」
「そうだね、そういう感じだね」
「わっかりました~~!」
毬藻は立ち上がり、深々と頭を下げた。
「みなさん、どうもありがとうございました!」
団員達も、同じように立ち上がり、同じような仕草で、礼を言った。
毬藻
「隆二さん、道具と食器を運んで、洗えばいいんですね?」
隆二「あっ、はい!」
毬藻は、ショーケンに耳打ちした。
「ショーケンさん、だいぶ、びびってきましたよ。明日あたり落ちそうです」
「そうですか、よろしく、おねがいします」
皿洗いと、パンクの修理が終わると、毬藻たちは帰って行った。
「ああ、おいしかった!おいしかった!」と言いながら、
「じゃあねえ、まったね~~!」と言いながら、
アキラ「あの人、相変わらず軽いねえ」
老婆も、寂しそうな顔で、彼らに手を振っていた。
よう子
「根占さん、帰るところはあるんですか?」
「ありません」
風が吹き、寒くなって来た。
きょん姉さん
「じゃあ、わたしのドームハウスに行きましょう」
「ドームハウス?」
「あの9番の、丸い家です」指さした。
「いいんですか?」
「はい、わたしとロボットだけですから」
「じゃあ、お願いします」
老婆は、安堵した顔になっていた。
あゆみ「良かったわねえ、おばちゃん」
きょん姉さんは、老婆の左手を引いて連れて行った。
福之助
「じゃあ、わたしは、あゆみちゃんの家に、将棋セットを届けてから戻って来ます」
「分かった!」
「ロボットって、あの方?」
「そうです。福之助と言います」
寒風が吹き、日が沈もうとしていた。




