アラシールドあげれば、きっと治るわ!
ショーケンの歌は終わった。少女は拍手をしていた。
「ショーケンさん、かっこよかったわ~~~」
「歌は?」
「よく分かんなかった」
「なあんだ、がっかり!」
忍者隊・月光の宇宙刑事アニーがやって来た。いつものミニスカートではなく、普通のブルーのジーンズ姿だった。
「みなさん、こんにちわ~~」
少女「わあ、アニーのおねえちゃんだ!」
「すみれちゃん、こんにちわあ」
「こんにちわあ」
アニーは、黒いヘルメットをかぶっていた。
少女「そのヘルメット、かっこいいわ~~」
「忍者隊・月光のヘルメットよ」
前面には、青白い文字で、月光と書かれてあった。
よう子「お仕事ですか?」
「ええ、そうです。パトロールする隊員が足りなくって」
「大変ですねえ」
「みなさん、ワクチンゾンビには、くれぐれも注意してください」
アキラ「ワクチンゾンビ?」
「あっ、失礼!忍者隊では、ワクチン変質者のことを、ワクチンゾンビと呼んでいるんです」
「以前、ワクチンゾンビという映画がありまして、そこから」
よう子「ありましたねえ」
アキラ「知らない。どういうの?」
アニー
「心も身体も、ワクチンでぼろぼろになって、ゾンビのようになっても、生きているという映画です」
「気持ち悪いなあ」
そこへ、変な男が歩いて来た。両手を前に、力なく出し、視線は定まってなく、泳いでいた。
近くの観光客は逃げた。
アニー「ああいう感じです」
アキラ「ってことは、あの人、そのワクチンゾンビ?」
アニー「どうやら、そうみたいですねえ」
「で、どうするの?」
「どうするって?何もできません」
「放っておくの?」
「逮捕はできませんよ。何もしていないんですから」
「そうだけど・・」
不気味な風が吹いていた。
男は、アキラの前で立ち止まった。
「焼き芋を、1つ、くれ」
アキラは、焦った。
「あっ、はい!」
男は、代金を払うと、美味しそうに食べながら、おぼつかない足取りで、来た道の方向へ去って行った。
アキラ「お~~う、びっくりした!」
よう子「あの人、大丈夫かしら?」
アニー「大丈夫じゃなくっても、どうしようもできません」
アキラ「で、映画では、最後はどうなるの?」
アニー「自分で墓を掘って、安心したように死んで行くんです」
「みんな、?」「はい」
「悲しい映画だねえ~~」
「現実も、そうなるかも知れません」
カラスが、悲しい声で鳴いていた。少女が急に泣き出した。
「あの人、可哀想だわ~~!」
すぐに泣き止んだ。
「あの人にも、アラシールドあげれば、きっと治るわ!」
みんなは驚いた。
アニー
「そうだわ!それは、いい考えだわ!」
少女は、野に咲くすみれの花のように、りんとしていた。
アニーは、高野山警察署に向かって駆け出した。




