ワクチン未接種パスポート
次の日、三人は、いつもの金剛峯寺に向かっていた。
よう子
「ワク打ちゾンビ病がいるから、クルマには注意したほうがいいわ」
アキラ「ワク打ちゾンビ病?」
「ワクチンのスパイクたんぱくや血栓によって、血管が詰まって、意識が無くなるんです」
「それで、事故」
「そうなんです」
若い女性が「あんたたち邪魔ねえ!」と言い残し、通り過ぎて行った。
アキラ「なんだ、今の女?」
よう子「きっと、ワクチンいらいら病だわ」
「ワクチンいらいら病?」
「短気になって、攻撃的になるんです」
「まだ、若い女性なのに」
「逆に、鬱になる人もいます」
「いやなワクチンだねえ」
「悪魔のワクチンです」
「いきなり、変な人は増えて来るし、大変だ」
「今度のワクチン後遺症は、約3か月後から出て来るそうです」
「不気味だねえ」
左側の路地から、老婆が、幼い女の子と一緒に歩いて来た。
5歳くらいの子供だった。転んだ。泣き出した。
「痛いよ~~~!」
アキラが駆け寄って、起こした。まだ泣いていた。
「ばあちゃん、いたいよ~~~!」
「どこだい?どこだい?」少女のズボンの、膝のあたりが汚れていた。
老婆は、懸命に右手で撫でていた。
「ほうら、もう痛くない、痛くない」
少女は、アキラの顔を見て笑った。
「あっ、焼き芋屋の、おにいちゃんだ!」
「そおだよ~~~」
「ちょうど良かったわ」
「何が?」
「焼き芋を買いに行こうと思っていたの」
「それは、ちょうど良かったねえ。じゃあ、ここで売ってあげるよ」
「わ~~~あ、よかったわ~~」
「いくつ欲しいの?」
「2つ」
ショーケンが、ザルに焼き芋を5つ取って、見せた。
「まだ、これしかないんだ。どれがいいかな?」
少女は、指で示した。
「これと、これ」
老婆が、礼を言った。
「すみませんねえ。ありがとうございます」
ショーケン
「こちらこそ、ありがとうございます」
老婆は、代金を払った。
少女は、よう子の顔を見ていた。
「歌の上手い、お姉ちゃんだ!」
よう子「おはよ~~~う」
「おはようございま~~す」
「これから、あそこに行くんですか?」
「そうですよ」
「また、歌うんですか?」
「はい、歌いますよ」
「じゃあ、あとから行ってみよおっと」
「焼き芋、帰って、おばあちゃんと食べるんだ?」
「そう。おばあちゃんと、仲良しのアリさんと食べるの」
「仲良しの蟻さんがいるんだ?」
「お庭にいるの」
「へええ、そうなんだ」
「じゃあねえ~~」
少女と老婆は、手を振りながら、来た道を戻って行った。
アキラ
「今の人、胸に、ワクチン未接種パスポートってのつけてたね」
「あれは、高野山警察が発行している、ワクチンを接種していないことを証明するものです」
「へ~~~え、そうなんだ。さすが、高野山」
「不動明王の高野山は、強いのです!」
「織田信長軍を追い払った、高野山だからなあ」
ショーケンは、少女を見ながら、目を細めていた。
「子供はいいなあ。蟻さんが友達なんだから」
よう子「そうですねえ」
ショーケンは涙ぐんでいた。
よう子「あら、どうしたんですか?」
「おばあちゃんが、ワクチンを打ってなくって良かった、と思ってね」
「そうですねえ。ショーケンさんって、心が優しいんですねえ」
よう子も、アキラも、涙を浮かべていた。カラスだけが、いつものように鳴いていた。




