不気味な風が吹いていた
「だんだん寒くなってきましたね~~」
よう子は話題を変えた。でも、視線は鋭いままだった。
「そうですねえ」
「毬藻さんは、何か新型ウイルス予防は?」
「毎日、高野山の高野槇の空気を吸っているので大丈夫です」
「高野槇の空気?」
「ウイルスを寄せ付けない力があるのです」
「ええ~~~、そうなんですか?」
「はい」
「初めて知りました」
「この辺りは、高野槙は少ないようですねえ」
「はい、少ないです。他には?」
「免疫力を高めるために、アラシールドを飲んでいます」
「若返りのために、わたしも飲んでいます」
「お若くみえるんですが?」
「いくつに見えますか?」
「25くらいに」
「わ~~あ、嬉しいわ~~」
よう子は、30だった。
毬藻「血糖値を下げるためにも、飲んでいます」
「あら、宇宙人も糖尿病になるんですか?」
「また~~~あ!よう子さんは、実に面白いなあ」
「魂が見えないんですけど」
「わたしのですか?」
「はい」
「それは、おかしいですねえ~~~」
「こんなの初めてです。不思議だわ~~」
毬藻は、ショーケンのほうに振り向いた。
「明日も、同じような時刻から開始しますので」
ショーケン
「よろしくおねがいします」
「終わったら報告に来ます。8番のドームハウスでいいんですね?」
「はい」
「それでは、他に仕事があるので、失礼します」
毬藻たちは、去って行った。
アキラ
「よう子ちゃん。あの人、魂が見えなかったの?」
「はい」
「幽霊かなあ?」
「幽霊には、肉体が無くても、魂はあります」
「そうだよねえ。じゃあ、ロボットかな?」
高野山に、魂のない不気味な風が吹いていた。




