空虚な風が吹いていた
前方から、十人ほどの白装束の幻魔教団の連中がやって来た。
ショーケンは先頭の人間に声をかけた。
「ちょっと訊きたいんだけど?」
「はい、何でしょうか?」
「教団長は帰って来ましたか?」
「まだですが、何か?」
「いや、なに、頼み事を御願いしたもので」
「お客様でしたか。夕刻までには帰ってくると思いますが、ご用件は?」
「それだったら、いいんです。あなたたち、いい匂いですねえ」
「高野槇洗剤のの匂いです」
「へ~~~え、そういうのがあるんだ」
「私たちがつくっているんです」
「自分たちで、つくってるんだ?」
「作って売っています」
「そういうこともやってるんだ」
「高野槇の臭いは、精神をリラックスさせます」
「そういう感じの臭いだね」
「シェディングの防止にもなるんですよ」
「シェディング、、知ってるの?」
「知っていますよ。ワクチン人間からの毒素被害です」
「いやあ、おどろいた」
「そうですか?アラシールドもいいんですよ」
「アラシールドも知ってるんだ!またまた驚いた!」
「アラシールドは、ウイルスにもワクチン毒素にも効きますよ」
「君たちも、それ飲んでるの?」
「はい。アラシールドは毬藻様の命令なんです」
「いつから飲んでるの?」
「新型のウイルスが流行りだした頃からです」
「ふ~~~ん」
「毬藻様は、ウイルスも、今度のワクチンも、殺戮兵器だと言っていました」
「殺戮兵器!」
「人類を滅ぼす兵器です。やっているのは、ブラックドラゴンだと言っていました」
「ブラックドラゴン?」
「暗黒エネルギーだそうです」
「暗黒エネルギー・・?」
「実体のない生命体とも、言っていました」
「実体のない・・・生命体・・?」
高野山を、空虚な風が吹いていた。
よう子
「実体のない生命体って、どういうことなんですか?」
「詳しいことは分かりません。直接、毬藻様に訊いてください」
「そうですか。分かりました」
「それでは失礼します」
彼らは、水金地火木土天海冥のまじないを唱えながら去って行った。
ショーケン
「実体のないって、幽霊かなあ?」
「幽霊は生命体ではないわ」
「そうだなあ」
顔中、蕁麻疹の男がやって来た。ショーケンは思わず避けた。よう子も一歩下がった。
「ワクチン蕁麻疹だわ」
「お~~~お、びっくりした!」
「なんか怖くなってきたな~~」
「大丈夫です。高野山は、過去の亡霊たちから守られています」
「まあた、よう子ちゃん、変な事言わないでよ~~」
「変な事ですか?」
「ときどき、宇宙人みたいに変な事言うよねえ」
よう子は、わざと不気味な顔をして笑っていた。
「大人をからかわないでよ」
「わりと臆病なんですねえ」
「僕は臆病なんですよ~~、幽霊とか怖いし」
「南無大師遍照金剛、実は、弘法大師空海も宇宙人だったんですよ」
「また~~、変な事を言う」
「へへへ~~、冗談です」
「よう子ちゃんの冗談は、不気味でシュール」
「そおうですか?」
「ワクチン蕁麻疹も写るの?」
「はい」
「役所の売店に売ってるって言ったね?アラシールド」
「はい」
「早く買いに行こう!」
ショーケンは、電動リアカーを引きながら、足を速めた。




