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「理」
人の子らよ。
何故、貴様らは此の地で生きる?
何故、不必要に森を削る? 足りぬと地を拓く? 満たされぬと獣を狩る?
何故、母の寵愛を忘れ。理を忘れ。自らの欲望の侭に我の愛する世を乱す?
何故、貴様らは与えられたものに不満を示す?
何故。何故。何故……。
嗚呼、然し憂いても無駄か。
既に人は我らの理から外れた。
ならば我のすべきことはひとつ。
我の子らを用いて再び母の理へと導こう。
……赦せよ、我が片割れよ。
貴様は人に肩入れするだろうが我は人に禍を下す。
我は我の責務を果たす。
――たとえ、愛する此の地を灼くことになろうとも。