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第三会場

≪第三会場≫



●『ロマンティックは止まらない』

『ロマンティックは止まらない』


・第一印象


主人公とヒロインの関係性……すばらしい


・感想とか


 タイトルだけ見た時は、現代コメディかなにかかしら、と思ったのですが、SFでした。きたー。

 こういう外道っぽい主人公、いいよね……!

 ヒロインとくだらない掛け合いができるのも、よし。最近こういうタイプの主人公を見なかったので、うんうんとうなずきながら読んでいました。

 私は科学的な素養がないので、正しさの観点からはコメントができないのですが、身体にたまった静電気を放電させる、みたいな小ネタも入ってて楽しい。

 もっとも、お金の単位が「金貨」なので、考証完璧のSFではなく、SF要素も含んだエンターテイメントだと認識しました。

 

 で、最後の「お前は昇進クビだ」が次話への強い引きになるのでしょうが、ここが少し気になりました。

 正確に言えば、このセリフがというよりも、このセリフに至るまでの情報の出し方……と言うべきでしょうか。

 

 そもそも主人公たちが戦っているのは何のためなのか、どれくらいの本気度なのかというのが、初読時にはつかめませんでした。軍隊にしては個人行動が多すぎるし、傭兵にしては横のつながり強そうだし……なんの戦い何だろう? と首を傾げ、もしかしたらゲーム世界(e-sports的な)かしらとまで思考がズレ、ようやく「マフィア艦隊」ってそういう名前っていうわけじゃなくてその「マフィアか!」と思いいたりました。

 私の読み込みが浅かったのですが……一般的な認識としては、マフィアは戦争にかかわるものなのか? 腕自慢が集うようなものなのか? とも思います。この世界ではそうなのだろうと思いますが、そう言った“この世界のルール”が今一つ明示されていなかったのが気になります。

 説明を増やすべきという意見ではなく、主人公たちが身を置いている世界/社会のルールが読者にしっかり入ってくると、「お前は昇進クビだ」という言葉のインパクトが強くなるのではと感じます。

 

 追伸

 何故こんなにマフィアにこだわっているのかというと……私がマフィアについて調べ物をした直後だからだと思います。気にならない読者も多いのかも。




●『最強の建築士~本当は勇者になりたかった~』

・第一印象


シンプルにわかりやすくて、いい

この心を忘れてはならない(自戒)


・感想とか


 感想は辛口でお願いしますとリクエストいただいたのですが、いいところが先に目についちゃったので、まずはそちらから。

 この作品でとてもよいのは、「コンセプトが明確である点」だと思います。

 タイトルを見ても、内容を見ても、主人公が望まなかったにも関わらず建築士になってしまい、この後無双するんだろうなぁ……と言うのがわかる。

 これはすごい事です。

 読んだ人が「この後こういう楽しさがでてくるんだろうな」と容易に想像できるのは、読者にとっては大きなメリットでしょう。

 たくさん作品を読んで、たくさん作品を書いていると、だんだんこういった純粋さが失われてきて作品が複雑になっていってしまいます。その結果、面白いんだけど新規読者が増えにくかったり……という結果に。

 もちろん、シンプルなほど良い/複雑なのが悪い、というわけではなく作者の選択次第ではあります。それでも私自身はこういったシンプルさを忘れてはならないなと思う次第です。

(作者さんもそこまで深く考えてないんじゃないかと思は思いますが……)


 さて、それでは以下辛口のコメントの部分。

 一読者として思うのは「説明には興味がない」というところ。具体的には冒頭の部分、世界の成り立ちの説明です。

 こういった説明的な内容は、物語や主人公に感情移入して初めて興味が出てくるところ。設定単独で面白いという作品もないわけではないのですが、今回のような割とシンプルな構造を持った作品で設定のみで楽しませるというのは相当に筆力が必要でしょう。

 文章が説明的になってしまう、という癖(?)は各所に現れていて、登場人物のセリフにしろ、地の文にしろ、もっともっと面白くかけるはず。

 

 もう一点気になってるのは、「最強の建築士」って言ってるんだから、最強っぷりを見せろよ! というところ。

 この作品のこの後は、建築家がチートしたり無双したりしてスカッと気持ちいい……という感じになるんじゃないかなと思うので、そんな感じのことが書き出しで示されていると、読者としても自然と次の話に進んでいけます。

 

 重箱の隅をつつく感じで気になるのは、

・職業は、16歳までに「それまでに得てきた経験から総合して神に判断される。」

 とあるのに、何故建築士になったのか?

 猟師の祖父と暮らしていたということは、おそらくは猟師的な生活をしてきたということ。

 主人公が猟師やそれに似た職業になったり、訓練していた兵士になるのは納得感がありますが、建築士になるというのは納得度が低めです。コンセプトのために無理やりそうなった感じ。

 もっとも初読時にはそれほど引っかからなかった部分ではあるので、さらっと読み流せるのかなとも思います。では、何故指摘したのかというと、「神に判断される」という部分がどれだけ信ぴょう性があるかによってこの世界の人々の暮らし方が変わってくるからです。

 16歳までに頑張ったなら必ず希望の方針に行けるのであれば、多くの人たちは努力を重ねるでしょう。16歳までの経験が、なんとなく反映されやすい気がする……というおまじない程度のものだったら、まあほどほどに訓練したり勉強したりする程度かもしれません。

 そもそも職業というのがどれくらいの強制力があるのか。兵士という天職を与えられたが、本人の強い希望で商人として生活することは可能なのか?

 ここら辺の疑問が出てくるのも、書き出しにおいて建築士についての描写が全くないため、この世界における職業のルールがまったく伝わってこなかったからなんじゃないかなと思いました。


●『街おこしの為、ブサメンを「男の娘」に次々改造して百合園を造ろう』

『街おこしの為、ブサメンを「男の娘」に次々改造して百合園を造ろう』


・第一印象


いいねいいね、ぶっとんでるね!


・感想とか


 ああ……もう、タイトル見ただけで脳汁がでる……。

 街おこし(目的) 百合園をつくる(手段) だけでもやばいのに、さらにブサメンを男の娘に改造するんですよ! やばいって(誉め言葉)。

 

 で、コメディ的なコンセプトではあるのですが、導入も好きでした。

 不細工な容姿で周囲からいじられていた、というところ。いじられるという経験がある人は、もしかしたらそこまで多くはないのかもしれませんが、自身の容姿に自信が持てずに、「もっとかっこいい/かわいかったらなぁ」と考えたことがある人は大勢いるはず。なので、不細工の主人公が自信を持っていく……という過程は読者を引き込んでいくことができるんじゃないかと思います。

 さらに、もう一つのテーマが「街おこし」。こちらは強く人々の共感を呼ぶテーマではないかもしれませんが、地方に暮らすものなら身近にある問題。子供のころは活気があった商店街が、いつの間にかシャッター街に……。どうにかしなきゃいけない気もするけど、どうにもならないよなぁ、という無力感を「男の娘百合園」でぶったたく。想像しただけで面白そうです。

 

 ……とまあ、ここまで本作がコメディであるという前提で書いてしまっています。

(内容はコメディじゃないのに……タイトルの印象に引っ張られすぎ)

 ですが、この作品は本当にコメディになるのか? という疑問も、実は抱いています。

 というのも、この作品がかなり「生々しい」要素を配置しているからです。

 主人公がかわいい男の娘になれたのは現実世界にも存在する「美容整形」です。一昔前と比べたらだいぶ抵抗感は薄くなっているものの、日本にはまだまだ嫌悪感を抱く人も存在するはず。

 もう一点は、主人公の大学時代。さらっと書いてるけど、爛れまくりでしょう。

 ここら辺のダークな要素を、どうやって男の娘百合園や街おこしにつなげていくのか。

 コメディだとしたらつなげるのは結構大変そうですし、コメディじゃなかったとしたらどろどろな感じの作品になるのでは……?

 もし美容整形や大学時代の性生活(?)があたりが本筋にからんでこないとしたら、字数制限のある書き出しで書くようなでもないと思いますし(特に大学時代のエピソード)。

 いろんな意味で続きが気になる作品でした。



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