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おうこく!  作者: 伊達 虎浩
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第1章6 りの帝国崩壊?? 下

『登場人物』

水瀬 りの

 現役高校生アイドル。不運な事故にあって死んでしまったが、神さまが半分生き返らせてくれた。

生き返る為には、何もない荒野に国を作る事である。

アリア

 りのの手助けをする為、神さまからいただいた妖精。

1日3回まで、お助けアイテムをだしてくれる。


【本編】


 全身筋肉痛で動けないりのはゴン太に背負われ、アリアはゴン太の頭の毛の上で、両手を後ろに回し、片足を組んで空を見上げている。

 流れる雲をぼんやり眺めているアリアは雲を見ながら呟いた。

「なぁ・・バナナをどうやって探すのだ」

「え?当初の目的と違うんだけど」

 りのが全身筋肉痛の為、森の中にある温泉に入って疲れを癒やそうと、言い出したのはアリアだというのに、すっかり目的が変わっている。

 だが、アリアの言う目的も充分なものなので、りのは考える。

 

 温泉で出会ったさるや、うさぎに道中で出会ったという事は、きっと森の中を探せば食べ物があるはず。

 さるは果物を食べるだろうし、うさぎは木の実とかにんじんを食べると思われる。

 ならば上をアリアに見てもらって、下を自分が探せばきっと見つかるはず。

 やる前からきっと見つからないとか、無理だとか、ネガティブな気持ちになると、見つかる物も見つからない。


 希望は常にもって行動をしないとダメだ。


 ”誰かに希望を与えられるアイドルになりたい”


 だから自分はアイドルになった。


 誰か1人でもいい。


 自分の存在で、誰かに希望を与えられる事ができるなら。


 きっと・・。


 「えっ?」


 りのを背中に乗せたゴン太は、背負ったまま温泉に入っていく。

 りのは考え事をしていたせいで気付くのが遅れてしまい、服のまま温泉に入った。

 涙が流れる人間と、ごきげんな妖精と牛。

 せめてもの救いは、制服の中が水着だという事だけだった。


 服を脱いでギュッと水分をしぼり、乾かす為に木の上に置いて置く。

「あれ?少し良くなってるかも」

 おきた時より、筋肉痛はだいぶ楽になっていた。

 ぷにゅぷにゅと体を触って、マッサージをする。

「・・ぷにゅぷにゅ・・だな」

「・・その言い方、なんだか悪意を感じるんだけど」

 刺身しか食べていないのだから、太るわけ・・ないよね?

 

 りのが体を触っていると、草むらの方から音がする。

「ひっ」

 りのは木から離れ温泉の中にダイブする。

 湯の中からそ~っと顔を出して草むらを見る。

「り、りの!バナナだ!」

「・・いや。さるにしか見えないってああああ!」

 りのが木の上にかけていた服を、さるが取って逃げ出した。

「ま、待って。”りの帝国”にはその服しかないの」

 急いで温泉からあがり、さるの後を追う。

 ゴン太とアリアは、やれやれという感じでりのの後を追う。


 さるを追うりのだったが差はどんどん広がっている。

「アリア!お助けアイテム、お助けアイテムを出して」

 このままでは見失ってしまうと、慌ててアリアを呼ぶ。

「そ、そうだな。このままだとバナナが逃げていく」

 シポルっとアリアが呪文を唱えると、でてきたのは・・釣り竿であった。

 

 釣り竿を手渡されたりのは固まってしまう。

 釣り竿をどうしろというのだろうか。

「まさか・・釣れって事?ねぇ?釣れって事?」

「私に聞くな!あっ!ほら逃げて行くぞ」

 さるは木の上をすいすいと突き進んでいく。

 このままだと逃げられてしまう。

 りのは意を決して釣り竿を振る。


 「あれ?糸がでないわ」

 「ロックを解除してないからだろ」

 アリアに言われ、手元を見てロックを解除する。

 すると、釣り竿の先端から糸がでてきた。

 おもりのせいで、サーっと糸がでてきて地面に落ちる。

「あわわわ。糸が。糸が」

 釣りバカ日誌で教わった事を思い返しながら、急いでリールを巻く。

 しかし、走りながら作業をするというのは難しい。

  

 糸を巻き終わり、再度釣り竿を振る。

 今度はちゃんと糸が前に飛んだ。

 しかし、木にあたって地面に落ちる。

「・・・なぁ?逃げられるぞ}

 再度リールを巻くりのにアリアが告げる。

「わ、解っているわよ」

 えい!という言葉と共に投げられた糸は、さるの持っていたりのの服に引っかかった。


 しかし、糸のロックを解除したままだった為、どんどん伸びる。

「あわわわ。ど、どうしよう。ねぇ?アリア!」

「ま、待て。りの!このまま様子を見よう」

「な、何言っているのよ・・あ!そうか」

 りのはアリアが言いたい事を理解する。

 さるは恐らく巣に帰ろうとしている。

 それならこのまま糸を引っ張ってもらって、連れていってもらえばいいのだ。

 発振器といった便利な機械がない昔の時代、人々は知恵を振り絞り、こうやって糸を貼り付けて後を追うという原始的手法を使い、巣の発見とかをしていた。

 

 りのとアリアはこの事を知らない・・偶然の閃きであった。

 さるがどんどん奥に進んで行き、姿が見えなくなってしまった。

「大丈夫。この糸をたぐって行けば見つかるわ」

 りのは気付かれないように、ゆっくりリールを巻いていく。

 どんどん奥に進んで行くと、甘い香りが辺り一面を包み込んだ。

 果物の木の近くは、甘い香りで包まれている事を知らなかったりのとアリアは驚いた。

 バナナの木がたくさんあり、よだれがでる2人。

 木の陰からそ~と覗き込む。



 しかし見てはいけない物を見てしまう2人。


 入り口近くに看板がたてかけてあった。


「ようこそ!猿山連合国へ」


 この文字を見た2人は考える。




(この国に入れてもらおうかしら) 


 早くもりの帝国は崩壊の危機を迎えるのであった。


次回 第1章7 猿山連合国 上


※ここまで読んで頂きありがとうございます。

まず、注意点として果物の木の中には甘くない木もあります。

勘違いさせるような書き方をしてしまい申し訳ありません。

ちなみに、釣り竿ではないですが、糸の話は本当です。

長くなってしまうとあれですので、この辺で。

では次回もお楽しみに。

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