第2章4 クローバー 上
『登場人物』
水瀬 りの
現役高校生アイドル。不運な事故にあって死んでしまったが、神さまが半分生き返らせてくれた。
生き返る為には、何もない荒野に国を作る事である。
アリア
りのの手助けをする為、神さまからいただいた妖精。
1日3回まで、お助けアイテムをだしてくれる。
【本編】
森を抜けたりのとアリアを待ち受けていたのは、不思議な事を言う2羽のウサギである。
ミツバとヨツバと名乗る2羽のウサギは、ここを通りたいのであれば、勝負して勝たないと通さないとの事であった。
「・・どうする?」
「どうするも何もやるしかあるまい」
「・・ですよね。」
りのはアリアに相談したのだが、返ってきた答えは予想通りであった。
このまま引き返した所で意味はない。
何故なら、いつかはトランプ王国について、調べる必要がある。
遠くから見える建物は、立派なお城に見え、もしかしたらりの帝国を作るのに、必要な物があるかもしれないのだ。
「クスクスクス。ルールを説明するよ。お姉さん」
「スクスクスク。ルールを説明するよ。お姉さん」
「・・・えぇ。お願いするわ」
りのは地面に座って、あぐらをかいた。
アリアはりのの右肩に座り、ルール説明を聞く。
『トランプすごろく』
2羽のウサギは声を揃える。
「トランプ・・すごろく?」
聞きなれない言葉に、首をかしげるりの。
「クスクスクス。言葉の通り、トランプを使います」
「スクスクスク。トランプが何枚あるか解るかい?お姉さん」
「え〜っと。A〜Kで図柄が4種類だから」
りのはミツバとヨツバのルール説明を聞きながら、質問には答え、解らない事は質問して、勝負に備えた。
【ルール説明】
・通常、すごろくにはサイコロやダイス、ルーレットを使うが、ここはトランプ王国。
トランプを使ってすごろくをする。
・プレイヤーはトランプを1枚やまから引き、引いた数字分進める。
使用したトランプは、墓場に捨てる事。
・トランプの枚数はジョーカーを入れて54枚。
ジョーカー2枚は、回避行動に使用可能である。
・トランプは全て使いきらなければならない。
ただし、ジョーカーを残しておくのは大丈夫とする。
・各プレイヤーは、交互にトランプを出し、トランプの数字分進めるが、5ターンの間は、トランプを出すタイミングは同時におこなうものとする。
・ゴールしないでトランプを全て使用した場合、墓場に捨てたトランプを全て回収して、その場から再スタートとなる。
「クスクスクス。ここまでは大丈夫かな?お姉さん」
「いくつか質問いいかしら。トランプを全て使用しないでゴールした場合は?」
「スクスクスク。トランプは全て使用するようにできている。まぁ行けば解るよ」
「全て使用できるようになっていると言う事は、マスは全部で何マス・・嫌、待って」
「クスクスクス。気づいたようだね。これはすごろく。当然、色々ある」
「色々ってなんじゃ?」
「いい、アリア。通常すごろくは何マス進めとか、何マス戻れとか、一回休みとかあるものなのよ」
アリアはすごろくをした事がない為、りのに色々と質問をする。
「それがなければ何マスなんじゃ?」
「え?え〜っと、1〜13を足して、4をかけるから・・。」
りのは地面に、数字を書いていった。
{12345678910111213×4}
ザッ、ザッ、ザッとりのは矢印をかいて、計算をしていく。
「91で4かけて・・364マスね。けど、それの倍はあるとみて間違いないと思うわ」
「何でじゃ?」
「さっきも言ったけど、何マス進めとかあるのよ。それにルールでもあったじゃない」
トランプを全て使用してゴールできなかった場合は、山のトランプを全て回収して再スタートというルール。
つまり、1度も何マス進めというマスに止まらなかったとした場合、364マスではゴールできないという事でもある。
「クスクスクス。やはりお姉さんは優秀そうね」
「スクスクスク。他に質問はないのかしら」
「もし、負けた場合は・・どうなるの?」
「クスクスクス。お姉さんの持ち物」
「スクスクスク。何か一つ置いていってもらうわ」
りのはわアゴに手をあてて考える。
こちらにデメリットは少ない。
何か一つと言うからには、こちらが決めていいのだろう。
それならば、万歩計をあげた所で何の痛手もない。
逆に、勝った時のメリットは大きい。
向こうはトランプを所持している。
つまり、トランプ王国では紙の製造技術か、それに付随する職人さんがいる可能性が高い。
是非とも、会って話しをしたい所である。
「そのルールでいいわ」
りのは一つ深呼吸をして、そう答えた。
「クスクスクス。では始める前にこれを渡しとくわね」
「スクスクスク。右腕と左腕にそれぞれ装着して、最後にこれを胸につけるのよ」
「・・遊戯王で見たような」
渡されたのは、二つの腕輪みたいなやつと、クローバー型のブローチであった。
腕輪にはカードを差し込む様な物がついており、ブローチは、クローバーの草と同じぐらいの大きさの物であった。
「クスクスクス。利き手じゃない方にトランプをセットして、使い終わったトランプは逆の方に差し込んでいく」
「スクスクスク。そのブローチは、イカサマした場合に警告音が鳴るよう仕掛けられている」
「なるほどね。でも、あなた達が本当にイカサマしていないか、私達には判断できないんじゃない?」
ミツバとヨツバに言われた通りに、腕輪を装着し、利き手ではない左腕に、トランプをセットする。
ブローチをつけた所で顔をあげたりのは、ミツバとヨツバが驚いた表情をしている事に気がついた。
「クスクスクス。聞いた?イカサマだって」
「スクスクスク。聞いた。イカサマだって」
まるで、小馬鹿にしたようにヒソヒソと話す2羽のウサギであったが、まる聞こえであった。
若干、イラッとするりの。
「クスクスクス。妖精さん。魔法をどうぞ」
ミツバは、アリアに話しかけた。
イカサマをしたかどうか解るように、魔法をかけていいと言ってきたのだ。
「・・ワシはそんな魔法、つかえんぞ」
アリアは気まずそうに、そう答えた。
すると、またしても2羽のウサギは驚いた表情を見せた。
「クスクスクス。聞いた?魔法を使えないって」
「スクスクスク。聞いた。魔法を使えないって」
2羽のウサギは驚いた表情で、ヒソヒソ話しをするが、やはりまる聞こえであった。
アリアは、かなりイラッとする。
「クスクスクス。私達はトランプ王に誓う」
「スクスクスク。私達はイカサマをしないと」
2羽のウサギは、片手と片手を合わせると、空へと掲げて宣言する。
アリアとりのは目を合わせた。
この話しを、信じるかどうか瞬時にアイコンタクトをとる。
「クスクスクス。イカサマなんてしないわ」
「スクスクスク。する必要がないもの」
小馬鹿にしたように笑う、2羽のウサギ。
アリアとりのは、瞬時にアイコンタクトをとる。
『絶対に負けない』
2人の気持ちが、一つになった瞬間であった。
次回第2章4 クローバー 中
活動報告にも書きましたが、トランプすごろくというゲームが実在するかどうか解りませんが、一応オリジナルゲームとして、書かせていただいております。
何処かで見た、読んだなどがございましたら、お知らせ下さい。




