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北海道の現役ハンターが異世界に放り込まれてみた  作者: ジュピタースタジオ
第一章 本物のハンター、異世界に行く
3/107

3.僕のチートって、凄いようで凄くない


 夜。

 ペットボトルの水も菓子パンも食べてしまった。

 うお――ん……わお――ん……。

 オオカミっぽい犬の鳴き声が響きます。

 怖い。


 ロープを木に投げつけてひっかけ、木登りしました。

 今日は木の上で寝よう……寝られるかな?

 自分の体を落ちないように幹に縛り付けて眠ります。

 クタクタになってたせいで何とか寝られたか。

 非常用のアルミシートで体を覆いました。夜はさすがに少し寒いです。


 日が昇るころ、マジックバッグにお金を千円入れていろんな食べ物の名前を言います。

「アンパン」

「お菓子」

「ポテチ」

「ハンバーガー」

 ……ダメだ。どういう品ぞろえなのかさっぱりわからないです。


「缶詰」

 ダメか。

「魚の缶詰」

「肉の缶詰」

 お? 出た! なにこれ!?

 SPAM? やけにアメリカンなパッケージ……。肉かい。

 コンビーフみたいなもの? かじるとソーセージみたいな味がしました。


「コーラ」

「ジュース」

「お茶」

 これもダメか……。

「ミネラルウォーター」

 出た! ペットボトルのミネラルウォーター。

 クリスタルガイザーか。

 鞄の底にはちゃんとおつりが入ってた。

 ……1ドル紙幣が六枚。


 USドルですか。これってアメリカのショップと繋がってるんですかね。

 お菓子やポテチ、コーラも置いてないアメリカのショップって……。

 でも銃の弾は買えたんですよね。


 お金があるうちはこれで飢え死にはしなくてよさそうです。

 試しにキャッシュカードを入れて……。

「現金で一万円」

 出た!

 一万円札が一枚!

 なんだこのATMのレシートみたいなやつ!

 残金……え、1102万4285円!

 この一千万円なに!?


「ちょちょちょ、ナノテスさーんナノテスさーん!!」

 デジタル簡易無線で呼びかけてみる。

 今更だけど無線機で通信する女神様ってどうなのよ。

 いや、普通はアマチュア無線使うんだけどね、僕もアマチュア無線の資格あるんだけどね、最近電波法がうるさくてねハンティングにアマチュア無線使ったらダメだって総務省から指導きて、最近はどこの猟協会もデジタル簡易無線に切り替えているんだよね。最初は馬鹿にしてたみんなも実際に使ってみると、「意外と使える」って驚いてるよ。

 そんなことどうでもいいね。


”はーいこちらナノテスです。おはようございます”

「あ、おはようございます。今、キャッシュカードをマジックバッグに入れて現金出してみたんだけど、僕の口座にい、い、一千万円も振り込まれているんだけど覚えある?」

”ああ、それ、中島さんの保険金ですよ”

「保険金――――!!」

”ハンター保険入ってたでしょ。それです”


 ……生命保険?

 ハンター保険の?

 ハンターは危険な業務なんで事故防止や被害者保護の観点から保険に入っておくのが義務付けられているんだよね。

 車の自賠責みたいなもの。

 だから僕も狩猟者登録したとき猟協会の手続きで入ってた。

 僕が事故でケガしたり死んだら僕の口座に振り込まれるようになってたけど。

 こんなにすぐに振り込まれるものなの? 僕って死んでからもう相当時間が経ってるの?

 謎だ……。


「と、とにかく、これは僕が使ってもいいお金なんですよね」

”そうですね。ただ、ご遺族が中島さんの銀行口座抹消するかもしれませんので、今のうちに全額卸しておいたほうがいいかもしれませんね”

 うわあ――――! それヤバい!


 ……。


 ……いや、ちょっと待てよ?

 このお金は、保険金。だったら、僕の家族が受け取るべきじゃないかな……。

「キャッシュカードの残金から一千万円を残して現金に!」

 ちょっと黄色い鞄が重くなる。

 ……中を開けると札束が入ってた。間違いなく102万4285円あった……。


「……こんな現金持ち歩くの怖いんですけど」

”マジックバッグに入れて『収納』って言ってください。消えますから”

「消えたらダメでしょ――!!」

”『一万円』とか言えばちゃんと出てきますよ。安心してください”


 怖いので千円札で試してみました。確かに出し入れ自由でした。

「……これって信用していいの? 万一本当に消えちゃったりしたらどうすんの?」

”そこは私を信用してくださいよ”

 ……怖いのでさらに収納のテストを繰り返して、信用できるようになってやっと全額をバッグに預けましたね。


「あのさ」

”はい”

「このバッグで入手できるものってさ」

”はい”

「もしかしてアメリカのアウトドア用品店とか……」


 ……。

 無線から返事ないんですけど。

「アメリカのアウトドア用品店って、銃とか弾とかハンティング用品も扱ってますよね。もしかしてそこに丸投げしていませんか?」


 ……。

 無線から返事がありませんね。

 おおいいいいいい――!


”中島さん”

「はい」

”がんばりましょうね!”

 ……なんですかその雑な応答は。


 とにかくです。

 それならそうと言ってくれたほうが後々楽なんですけど。

 主食は自分で調達しないといけないってことですね……。

 でも、これで家族に保険金を残せそうですし、なんだか少し安心しました。



次回「初めての異世界ハンティング」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] この時点で一千万で買えるアメリカアウトドア用品店の最大火力の銃は買わないのかなと。 アサルトライフルにドラムマガジン、まであればうれしいんだけどな。 コマンドーが押し入ったのは銃砲店だ…
[一言] 漫画版でもポンコツカワイイ女神様は、原作でもポンコツカワイかったw
[一言] アナログ簡易無線機終了ですよね。 私の会社で使ってる無線機も、まだ新しい のですが買い替えるようです。 400MHz帯のアナログ方式の簡易無線 (アナログUHF簡易無線) 350MHz帯のア…
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