運命の帰り道
桜が舞い散るこの季節、僕は1人の女の子と学校の入学式の帰りに神社で会った。その人は何だかこの世の者とは思えないほど美しく、儚い感じだった。
しばらく硬直していた僕はようやくここに来た本来の目的を思い出し、水溜りにある濡れたスクールバッグを取りに行く。しかしスクールバッグは彼女の後ろだったので恐る恐る下を向いてバックを取る。バックを見ると外だけじゃなく中まで水が侵入していて、さっき担任の先生に貰ったプリントがびちゃびちゃだ。
「折角、高校入学のお祝いにお母さんが買ってくれた物なのにー」
後悔とこうなった原因の小学生に怒りを覚え、拳で地面を思いっきり叩く。一般的な高校一年の男子の力ならともかく、身長も力も中学生のままだからか全く地面に衝撃を加えられず只々拳が痛いだけ。
「・・・・・・帰るか!」
濡れたバックを乾かすためバックを振り回したら僕は帰ろうと目の前の階段を下りる。
「あ!そういえばさっきの女の子は・・・・・・・」
何故だかわからないけど気になったので彼女が居ないのか後ろを向く。でもその場に彼女の姿は見えなかった。
少し残念に思いながらその後階段を下り家に帰った。
「ただいま〜。帰ったよ」
家に入り僕はまず最初にリビングに行く。そこにはお母さんが夕飯の用意をしていて忙しい姿が見受けられた。それでも話すことは出来たから今日の出来事を隠さず自分から話した。
お母さんは料理中ながらも楽しく聞いてくれた。
僕はその反応が嬉しくて調子に乗って二階にある妹の部屋を訪れる。
意外にも久しぶりに入る部屋からは凄く「女の子の部屋」という感じで新鮮な気分になった。
「どうしたのかな〜、絆。そんな今にでも自慢話をするみたいな顔をして」
・・・・・・やっぱりわかっちゃうか。さすが双子の妹だけのことはある。
そう心の中で思い、胸を張って淡々と自慢話を始める。
「でさ帰りに超可愛い女性がいてね。僕、運命感じちゃったかも!」
「ふーん。そうなんだ。それは良かったね。で、わざわざそのことを話すためにここに来たの?」
「まあ、そうだね」
何か気に障ったのか、妹のゆさりは答えを聞くとさっそうと部屋を出て行ってしまった。
僕もその後を追い、リビングへと向かう。
「ねぇ、待ってよ!どうして出て行ったの?」
僕はゆさりの手を掴み、引き止める。すると妹は小声で何か言った。
(ようやく、私の気持ちに気づいて話してくれるとおもったのに〜)
「え、何か言った?」
「別に何でもない!!!!!!」
妹の顔は言葉と反対に赤面になっていたので心配しておでこを妹のおでこに当て、熱が無いか調べる。
「うわ!すごい熱。風邪ひいてるんだったら無理せず寝てなよ」
僕は気絶してしまったゆさりをお姫様抱っこして、お母さんに報告する。そしてすぐさま熱を測った。
梅咲 純です。今回は新シリーズを書いてみました。
他の物語も平行して書くのでこのシリーズもぜひ楽しんで下さいね!






