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帰蝶の懐刀  作者: たばか
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   大通りをずんずん進むと、向こう側から何やら行列がやってきた。

  

   その行列を見た途端、周りの部落の人々は一斉に頭を下げ、中には土下座までする人もいる。

   おおかた城イベントの一つか何かだろうが、ここまで徹底しているとなるとプロ意識を称えざるを得ない。


   とりあえず俺は観光客なので、ぼーっと行列を眺めてみる事にした。


   行列の先頭には、農民とは明らかに体格の異なる屈強な男衆が、これまた頑丈そうな甲冑と兜を身に着けていた。

   黒光りする甲冑と兜は本物の鉄製のようで、遠目からでも重量感が伝わってくる。コスプレ衣装にまで気合が入っているようだ。

   次に続くのは、初老の男性と着物の女性。最後は、なんと男四人で担いだ神輿のような物まで行列していた。


   イベントショーという事もあって、向こうが直進の進路を変えそうにないので、俺は少し脇に寄った。


   すると、目の前を通る人々は俺の事を威嚇するような目つきだったり、眉をひそめて目を逸らしたりして、なんかこう不愉快だった。この部落に村おこしは向いてないと思う。


   最後の神輿みたいな箱というか乗り物というか、そんなような物が俺の前を通る時、急に行列が止まった。


   俺もびっくりしたが、それ以上に行列を成していた人々が慌てふためいている。どうやら神輿の中からの声が原因らしい。


   初老の男と着物の女性とが、神輿の中に向かって何か言葉を発しているが、二人ともため息交じりに首を振った。

  

   神様でも出てくるんだろうか?


   おずおずと神輿が下りると、神輿の側面が観音開きになった。

  

   あ。そこ開くんだ。


  すると中から現れたのは、きらびやかな打掛を纏った美女だった。美女と言うと言い過ぎな感もあるが、少なくとも現代的な美人だ。ここのところ、素朴な女性しか見てなかったからなぁ。

  

  美女は神輿から出て立ち上がると、つかつかと歩いて俺の目前まで来た。ちょっと近い。


  今度は急に距離を取って、呆然とする俺をよそに、その美人は俺の服装の頭の先からつま先までしげしげと眺め、こう言った。


  「あなた、どうやってここに?」

 

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