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理想の先輩[フルート3]

B♭〜


パートでチューニング中も気まずい雰囲気が漂っている。しかも私は梨依と椎菜先輩の間の席が定位置なので、余計に嫌な空気を感じる。


「……夢架、夢架?」

「ああ!はいっ!」

「ぼーっとしないで。息安定させてって言ってるの」

「はい、すみません…」


隣の梨依も何か考え事をしている目だ。やっぱり集中できない。



「指動かして、もう1回」

「音外さないで、同じとこもう1回」

「音量抑えて、前のところからもう1回」


椎菜先輩の指示は止むことがない。私も梨依も先輩のことは尊敬しているので素直に返事は返す。だが明らかに梨依は不愉快という顔をしている。


「…梨依、そこいつも間違えてるよね、個人練でもやってないし、やる気ないなら今日は帰っていいよ?」


遂にキツい一言が先輩の口から出た。


ダン。


そんな音が教室に響く。梨依が両足を強く床へ叩きつけ、椅子から立ち上がった音だ。


「私、前の先輩が好きでした。今の先輩は、違う…」


そう言って梨依はキラキラと輝くマイ楽器を持って廊下へ出て行った。廊下から梨依の音がする。


「…夢架、ここ、もう1回ね」

「は、はい…」


私は呆れたような、しかし悲しげな椎菜先輩のため息を聞き逃さなかった。

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