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月は優しく桜を照らす  作者: 華ノ月


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9.


 優樹と美月がいる場所に奈緒が駆け足でやって来る。


「近くに車を停めてきたから、悪いけどそこまで美月を運んでくれるかしら?」


 奈緒が優樹にそう声を掛ける。


 そして、優樹は美月を担ぎ、奈緒の車の所まで連れて行くと、車の助手席に美月を乗せた。


「ありがとう、優樹君。また、詳しく話を聞かせてね」


 奈緒が優樹にそう声を掛けると、運転席に乗り込む。


 そして、美月を乗せた車が去って行く。


「美月さん……大丈夫かな……」


 優樹が去って行く車を見つめながら、心の中でそう呟く。


 そして、心配しながらも自分には出来ることがないと分かり、その場を後にした。




***


「……さ、これを飲んで」


 奈緒が美月にいつもの薬を手渡す。


 美月はそれをぼんやりとしたまま受け取り、口に含む。


「美影……」


 美月がポツリと呟きながら、一筋の涙を流す。


「美影の所に行こうか」


 奈緒が美月にそう尋ねると、美月はコクンと頷いてフラフラとした足取りで美影の部屋に奈緒と向かう。


 部屋の前に着いて、奈緒はいつものように外で待っていると言ったので、美月が部屋に入っていく。


「おいで、美月」


 部屋に入ると、美影が美月にそう声を掛ける。


 美月は美影の傍までいくと、美影の手を握る。


「大丈夫だよ……。落ち着くまでここにいるといいよ……」


 美影が優しく美月にそう声を掛ける。


 美月は美影の手を握ったまま、目を瞑る。


 美影が優しく問いかける。



 今日起こったことは全て夢……。


 全部忘れていつもの美月に戻るといいよ……。


 大丈夫……。


 大丈夫……。


 ずっと……。


 ずっと……。


 僕が美月の心を守るよ……。



 美影が魔法の言葉のように美月に歌うように、優しく言葉を紡ぐ。


 美月はそのコトノハを聞きながら目を閉じた。



 一方、部屋の外にいた奈緒は鞄からスマートフォンを取り出すと、ある人に電話を掛ける。


 コール音が電話越しに鳴り響いて、相手はすぐに電話に出た。


『大丈夫か?』


 電話を掛けた相手は正志だった。


 そして、優樹から聞いた話を正志に伝えて、松木を正式に利用停止にすることを伝える。


『……まぁ、優樹がその場所に居合わせたとなると確実やしな~。分かった。利用停止でなるべく早めに書類を仕上げたるわ』


「ごめんなさいね、頼むわ」


 正志の言葉に奈緒が申し訳なさそうにそう言葉を綴る。


 そして、電話を切り、奈緒はまた別の人に電話を掛けた。




***


「……ふぅ……」





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