5.
美月が松木のアパートの前でうろうろしながら小さく声を出す。
その時だった。
「……あれ?美月さん??」
「……え?」
美月に声を掛けたのは松木だった。
松木の手にはコンビニの袋が握られており、袋の中にはタバコやアルコールの缶が入っている。
「もしかして、俺に会いに来てくれたの?」
松木が美月にそう尋ねる。
「えっと……その……」
美月が言葉に戸惑う。
松木に会いに来たのは本当だが、連絡も無しに急に来るのはおかしいと感じて、どう返事をしていいのか分からずに、言葉に窮してしまう。
「ん~……、良かったら部屋に上がってお茶でもどうぞって言いたいところだけど、部屋が今散らかっているから、近くのカフェで良かったらお茶しない?」
返事に窮している美月を見て、松木が何かを悟ったのか、美月を近くのカフェに誘う。
「そ……そうですね。良かったらお茶しましょうか」
松木の提案を美月は飲むことにして、二人は近くのカフェに向かった。
***
「……それで、相談って何ですか?」
優樹が運ばれてきたコーヒーを飲みながらテーブルの前に座る綾乃にそう声を掛ける。綾乃はミルクティーを飲みながら、どう話を切り出すか考えている様子だ。
「えっと……その……」
「もし、仕事のことだったら僕に相談するより、奈緒さんか正志さんの方が適任だと思いますが……。仕事関係となると、僕なんかで相談相手になるかどうか分からないですし……」
綾乃がどう話し出そうか悩んでいるので、優樹がそう声を掛ける。
しばらく沈黙が流れる。
「……その、私、この仕事向いているのかなって思っちゃって……」
その沈黙を綾乃が破って、優樹にそう尋ねる。
綾乃はこの仕事を続けようかどうか悩んでいるという事だった。
今日の事でいくと、佐野の言葉であんな事を言って、佐野を怒らせてしまった。利用者に寄り添うようようにとはしているけど、殆どが上手くいかない。その事にジレンマを感じて、この仕事を続けようか悩んでいる。でも、せっかく持っている資格を生かして仕事をしたいという想いがあるので、辞めるべきか続けるべきか悩んでいる……という事だった。
「う~ん…そうですね~……」
綾乃の話を聞いて、優樹が返答に困る。
綾乃の相談は優樹から見て、どういった仕事をするのが良いのかとも相談されるが、明確な答えが出てこなくて、綾乃が話す内容を聞く事しかできなかった。
***
「……へぇ、やっぱ美月さんって凄いな」




