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月は優しく桜を照らす  作者: 華ノ月


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46/47

46.


【回想】


「……どうやら、美影君の命はあと僅かみたいなんや……」


「え……」


 正志の言葉に優樹が愕然としながら声を出す。


「美影君がかろうじてまだこの世に留まっているのは美月ちゃんのことが気がかりやからやろうな」


「じゃあ……美影さんは……」


「あぁ……。美月ちゃんの事が安心したらあの世に旅立てるやろうな……」


「……」


 正志のその言葉に優樹はどう返事していいか分からない。


「優樹……。美月ちゃんの為にも美影君の為にも、その想いを形にしたらどうや?後……自分自身に区切りを付けるためにもな……」


「……」


 正志の言葉に優樹の表情が沈んでいく。


 優樹の過去を正志には話してある。


 そして、これは優樹自身も殻を破る時かもしれないと感じる。


「………分かりました」


 優樹が瞳に光を称えながら力強くそう言葉を綴った。



【回想終わり】


「……自分自身の為って、どういうこと?」


 優樹が語り終わり、その話の中にあったその言葉に美月が反応する。


「僕はね……」


 優樹がそう言って、ある事を話す。


 それは、優樹の両親が事故で亡くなった事だった。そして、その事故は仕組まれたかもしれないと思っていることを話す。


「……仕組まれた?」


「うん……。実はそのちょっと前にある事があったんだ……」


 優樹がそう言ってまた語り出した。



 優樹の家は元々はごく普通の家庭で家族仲も良い家庭だった。


 そんなある日、父親が気まぐれで買った宝くじが大当たりして莫大な大金を手に入れた。そして、その事を親戚が集まった正月にお酒に酔った勢いで父親がその事を話してしまった。その数日後、両親は事故で亡くなった。事故の原因はブレーキの破損という事だったが、父親は車の点検はきちんとしていたので、そんな事故が起こるわけがない。警察にも話したが、誰がそんな事をしたかは分からなかった。


 そして、両親を亡くし、独り身になった優樹を父親の弟である叔父が引き取ると言ったのだが、優樹はその時に大学生だったので、それを断った。


 その後、優樹の中で事故を起こしたのは父親が大金を当てたことを知っている親族の誰かかもしれないという想いが湧き、優樹は親族の誰にも告げずに、そのお金を持って逃げるように今のところに引っ越した。


 そして、そのお金で今のマンションの部屋を買い、その部屋でひっそりと暮らしていた。一人にしては広すぎる部屋かも知れないと思ったが、ゆとりがある方がいいと思い、今の部屋を選んだ。


 その事があって優樹は人に対して疑心暗鬼になってしまい、誰も信じることが出来なかった。



『お金は時に人を狂わす』



 そんな言葉を昔聞いたような気がすると優樹は感じながら、言い寄ってくる女性は全て断っていた。お金を持っているという事は知らなかったかもしれないけど、優樹の中で「それが目的なのかもしれない」という想いが拭えなくて、言い寄ってくる女性の事を信用することが出来なかった。



「……だから、それなら誰かと一緒になるのはやめようと思っていたんだ。でも、美月さんと会って、どんどん惹かれている自分が居て、奈緒さんから話を聞いたときに、美月さんを守りたいと思ったと同時に、僕の事を分かってくれるのは美月さんしかいないんじゃないかって思ったんだ……」


 優樹が静かな口調でそう語る。


 美月はその言葉をじっと聞いていた。そして、優樹の手に触れると、小さな声で言葉を綴る。


「……優樹さん、聞いて欲しいことがあるの……」


 美月がそう言って今度は美月が語り出した。


「私ね……本当は全部知っているの……」





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