45.
優樹が美影を見て唖然と声を出す。
そこにはいろいろな医療機器が取り付けられている美影の姿があった。美影の頭の上にはパソコンで使うモニターが設置されている。そして、その傍にはスピーカーが置かれていた。
「美影はね……」
美月がそう言って話し出す。
家に強盗が押し入った時、両親が惨殺されそうになった時に、美影もその場所にいたこと。そして、美影は一命は取り留めたものの、今のような状態で命をかろうじて繋いでいることを美月が話す。
正志から美影の事はある程度聞いていたが、実際にその状態を目にした優樹は、どう言葉を掛けていいか分からなくてしばらく呆然としている。
その時だった。
「はじめまして、優樹さん」
スピーカー越しに美影が優樹に声を掛けた。
***
「……大丈夫かしら?」
美月の家のリビングで待機している正志に奈緒が不安そうにそう声を出す。
「きっと、大丈夫や」
正志がどこか安堵した表情でそう声を発する。
その根拠はあるのかと言えば正志にはない。でも、正志の中では「大丈夫」と言う確かな想いがある。
「優樹なら大丈夫や。きっと美月ちゃんの事も理解できるやろうし、基本は優しい人間やからな」
「そうね……」
正志の言葉に奈緒がどこか寂しそうな顔をする。
もう、美月に自分は必要ない……。
それが嬉しいと感じる半面、寂しさも感じる……。
でも、これが美月にとっていい事なんだ……。
奈緒が自分の心にそう言い聞かす。自分がこれ以上美月の傍にいるのは美月の成長に繋がらない。だから、これは良いきっかけなのだと自分に言い聞かす。
「……まぁ、奈緒ちゃんが寂しいのも分からんわけではないけどな」
奈緒の気持ちを読み取ったのか、正志が奈緒にそう言葉を綴る。
「まぁ……美月が幸せになってくれるのが私の本当の願いだからね……」
奈緒がどこか寂しそうに微笑みながらそう言葉を綴る。
「これで、美影君も安心するかもしれんな……」
「そうね……」
正志の言葉に奈緒がそう応えた。
***
「……ずっと捜していたんだ。美月には幸せになって欲しいから……」
美影がスピーカー越しにそう言葉を綴る。
そして、更に美影が言葉を綴る。
「良かったよ……。最期の最期で良い人が現れてくれて……」
美影の言葉に美月が涙を流す。
優樹はその言葉を静かに聞いていた。
「……その様子だと、優樹さんもこの事を知っているんだね」
「はい……。実は……」
優樹がそう返事して、昨日の居酒屋で聞いた正志の話を語り出した。




