44.
なぜ、その場所に優樹と正志がいたのか?
時間は少し前に遡る……。
正志が優樹を連れてきた場所は美月と奈緒がいる丘の場所だった。そこは美月の家の私有地の場所で、他に人が来ることはない。
そして、正志に言われて二人は影で美月と奈緒の様子をこっそりと見ていた。
「……あれが、美月ちゃんの普段の姿や……」
正志が小声で優樹にそう呟く。
美月は踊っていた。その表情はあどけない少女のような顔をしている。それと同時に儚げな感じが見受けられた。
「……優樹、美月ちゃんの事をどう思う?」
正志が小声で優樹に再度気持ちがぶれていないかどうかを確認するようにそう言葉を綴る。
「守りたいです……。僕は……やっぱり美月さんの事が好きです……」
優樹が踊っている美月を見つめながら、一筋の涙を流し、そう小さく言葉を綴る。
美月を守りたい……。
儚げで脆い美月の心を守ってあげたい……。
優樹の心の中でそんな思いが膨れ上がっていく。
「合格やな」
正志が優樹に笑顔を向けながらそう小さく声を出す。
そして、正志はわざと近くに落ちている小枝を足で踏んだ。
その音に美月が気付き、優樹と正志を見て美月はガタガタと震えだした。
「あ……あ……あ……」
美月が震えながら小さく声を上げる。
こんな自分を優樹と正志に見られてしまい、美月はどうしていか分からなくて言葉が出てこない。
その時、正志が優樹の背中を押す。
『行け』
優樹の背中を押した正志の表情はそんな言葉を発しているようだった。
優樹がその事に気付き、美月の近くに足を運び、美月の目の前に立つ。
そして――――、
「美月さん……僕が美月さんの事が好きです」
優樹が美月にそう言葉を綴る。
突然の優樹からの告白に、美月はどう返事していいか分からない。
「美月さん……。僕を美影さんの所に案内してください」
優樹の言葉に美月が驚いた顔をする。
美月がどう返事をしていいか分からなくて、奈緒の方に顔を向ける。すると、奈緒は「一緒に行きなさい」という表情で力強く頷く。
「……こっち……」
美月は優樹にそう言って、美影のいる部屋まで優樹を連れて行った。
***
「……ここだよ」
美月がそう言って、部屋のドアを開けると、優樹と一緒に美影のいる部屋に入っていく。
「……え……?」




