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月は優しく桜を照らす  作者: 華ノ月


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40/47

40.


「……もしかして、私のせいなのかな……?」


 奈緒の運転する車の中で助手席に座る美月がポツリと呟く。


「ねぇ、奈緒ちゃん……。綾乃さんが辞めた理由って、私が関係しているの……?」


 美月が運転している奈緒に顔を向けて、辛そうな表情でそう言葉を綴る。


「大丈夫よ。美月が気にすることじゃないわ」


 奈緒がいつもの口調でそう言葉を綴る。


 奈緒がいつもの感じなので、美月はそれ以上奈緒に聞くことが出来ない。


 車内に車の走る音だけが響く……。


 何も聞かない方がいいと思った美月は、無言になってしまう。


 やがて、車が美月の家に入り、奈緒が車を停める。


「……じゃあ、ゆっくり休んでね」


 車から降りた美月に奈緒が運転席に座ったまま、そう声を掛ける。


 そして、車は去って行き、美月は家に入ると、そのまま美影がいる部屋に入っていく。


「……おかえり、美月」


 美影が美月にそう声を掛ける。


「今日もお疲れ様。傍に来るといいよ」


 美影の言葉に美月が美影の傍まで来て、その手を握る。


「私のせいなのかな……?」


 美月がそう言って、綾乃が辞めた事を話す。そして、綾乃が辞めたのは自分のせいかもしれないという事をポツリポツリと話し出す。


「きっと、美月のせいではないよ。だから、大丈夫だよ」


「……だといいんだけど……」


 美影の言葉に美月は悲しそうにそう声を出す。


「……ねぇ、美月……」


 美影がそう声を発して、美月にある事を話した。




***


「……じゃあ、優樹は本気っちゅう訳やな……」


 正志の言葉に優樹が頷く。


 二人は居酒屋に来ていた。そして、それぞれ飲み物を注文してそれが来てから正志が美月のことを本気かどうかを聞いたところ、優樹は本気だという事を伝える。


「それは、この前奈緒ちゃんから聞いた美月ちゃんの話を聞いてもぶれていないという事やな?」


「はい」


 正志の言葉に優樹が瞳に強い光を称えながら、そう言葉を綴る。



 松木の事があった時に、優樹が奈緒に呼ばれて居酒屋に来た時、奈緒が優樹と正志に話したことは美月の事だった。


 奈緒の話によると、美月は自分の脳で処理しきれないことが起きると、脳の機能が一時停止して動きが止まってしまうこと。なので、その事を忘れるためにあるものを飲ませていること。だが、その飲ませているものは身体には全く害がないものだということ。ただ、美月には「楽になる魔法の薬よ」と言ってそれを飲ませているということだった。


 そして、美月がなぜそのような状態になったのかは、子供の頃に両親が強盗に惨殺されたことに関係があるという事だった。強盗は美月の家に目星をつけて、金目のものを盗むために家に押し入ってきた。しかし、美月の両親に見つかり、通報をしようとした両親を惨殺し、美月がその後で惨殺された両親を見つけた。


 そして、その時のショックで美月の心は壊れてしまったという事だった……。



「……僕の中では、奈緒さんからその話を聞いても美月さんに対する想いは変わりません。出来ることなら美月さんを守りたい……。でも、どうしていいか分からないんです……」


 優樹が悲痛そうな表情をしながらそう言葉を綴る。


「そうか……」


 優樹の言葉に正志がそう小さく声を出す。


「ちなみに、美影君の事なんやけど、どうやら美影君は……」





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― 新着の感想 ―
ここまで読ませていただきました。ついに、綾乃が職場を去って…そして、美月にはつらい過去があるのですね。奈緒がずっと心配して見ているのも分かります。また、優樹のどうしたらよいか分からない気持ちも…胸が痛…
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