4.
「え??」
美月の言葉に佐野の頭の上ではてなマークが飛び交う。
「確かにその仕事は短時間で高額が得られるので魅力な仕事なのは確かです。ですが、キャバ嬢という仕事は、お客さんによっては精神を蝕まれるほどの苦痛に晒されることもあると聞きます。佐野さんは明るく楽しい方で接客という仕事は向いていると思いますが、精神的に壊れる可能性があるキャバ嬢の仕事をして、精神的に病んでしまうのが心配です……。せっかくここまで良くなったのに、その仕事をしてまた病んでしまったらと思うと、私は心配で……心配で……。佐野さんも私にとっては大切な利用者さんです……。だから、その仕事をして心を病んで欲しくないです……」
美月が悲しい顔をしながらそう言葉を綴る。
「美月さん……」
美月の言葉に佐野がポツリと美月の名前を呟く。その表情はどこか寂しさもあるが自分の事をここまで心配してくれる美月に対しての嬉しさも滲み出ている。
「だから……、佐野さんの『心』を守るためにも、佐野さんにはその仕事をして欲しくないです……」
美月の言葉に佐野が涙を流す。
「ごめんなさい……。美月さんにそこまで心配を掛けさせたくないよ……。キャバ嬢はやめておく……。でも……、私の担当も美月さんにして欲しい……」
佐野が小さな声で嗚咽を漏らしながらそう言葉を綴る。
そして、佐野の担当に関しては、また話し合って改めて報告するという事になった。
***
「……ここね」
美月があるアパートを見上げながら、そう小さく声を出す。
(急に来てしまったけど会ってくれるかな……?)
美月が不安になりながらそう心で呟く。
美月は仕事が終わって、そのままその足で訪れた場所は、松木のアパートだった。利用者名簿で松木の住所を確認して、ここにやって来たのだが、松木に連絡はしていないので会えるかどうかは分からない。
でも、松木の事が気になってしまい、美月はここに訪れた。
***
「……あの」
施設での仕事時間が終了して、優樹が帰る準備をしていると、綾乃が祐樹に声を掛けた。
「どうしたんですか?」
優樹が頭にはてなマークを浮かべながら、きょとんとした顔で応える。
「その……、良かったら相談に乗って欲しいことがあって……」
綾乃が口をもごもごさせながら、申し訳なさそうにそう言葉を綴る。
「構いませんけど……」
こうして、優樹と綾乃は仕事場から割と近い場所にあるカフェに行くことになった。
***
「ど……どうしよう……」




