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月は優しく桜を照らす  作者: 華ノ月


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39/47

39.


 正志が相談室を出て行こうとする綾乃の腕を掴んでそう声を発する。


「認めるってことやな?!せやったらなんでこんな事をしたのかちゃんと説明してもらおうか?!」


 正志が大きな声で綾乃にそう問い詰める。


「も……もう辞めるんだからそんな事どうだっていいでしょ?!」


 綾乃が正志の腕を強引に振り払い、相談室を飛び出して行く。


 乱暴に相談室のドアが開いたので、その音に優樹は驚いた顔をして、美月もビックリした表情をしている。そして、綾乃が悲痛そうな表情で上着をひったくるように取り、その場を去って行こうとしたので、美月は「何かあったのか?」と思い、施設を出ようとする綾乃に声を掛ける。


「あ……綾乃さん?一体どうし……」


「大っ嫌いよ!あんたなんか大っ嫌い!!」


 美月が言葉を最後まで言い終わる前に綾乃が怒りを美月にぶつけながらそう叫ぶと、走ってその場を去って行った。


 美月は突然の事にその場に呆然としながら立ち尽くす。


「美月……」


 呆然としている美月に奈緒が声を掛ける。


「美月……。話があるからみんなの所に行ってくれる?」


 奈緒の言葉に促されて、美月がその場所に行く。


 その場には神妙な顔をしている正志とどこかホッとしている優樹がいた。そして、奈緒が口を開く。


「綾乃さんは本日付で退職よ……」


 綾乃の言葉に正志と優樹は頷く。


「……どうして?」


 美月だけがその言葉の意味が分からなくて、そう声を発する。


「一身上の都合よ」


 奈緒が美月にそう説明する。


 その言葉に美月は納得がいかないが、受け入れるしかないというのも分かっているので、その事について深く聞くことをやめる。


「じゃあ、今日はこれで終わりよ……。スタッフが一人減った分、今までより忙しくなると思うけど、これからもよろしく頼むわね」


「「「はい」」」


 奈緒の言葉に美月たちが返事をする。


 そして、美月は奈緒と施設を出て行き、正志と優樹は戸締りの確認をしてから施設を出て行った。


 正志と優樹が何もしゃべらないまま、一緒に道を歩く。


「……なぁ、ちょっと付き合ってくれへんか?」


 正志がそう言って優樹を居酒屋に誘い、優樹はそれを受け入れて二人は居酒屋に向って歩きだした。





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