36.
優樹がそう声を発しながら施設に戻ってくる。
「おうっ!おかえり!お疲れさん!」
正志が優樹に労いの言葉を掛ける。
「あれ?奈緒さんは??」
その場に奈緒が居ないので、優樹が不思議そうにそう声を出す。
「綾乃っちと相談室や」
正志が親指で相談室を差しながらそう言葉を綴る。
「じゃあ……」
「あぁ……。そういう事やな……」
奈緒と綾乃が相談室にいるという事は、昨日の話を綾乃に問い詰めるという事をすぐに察知して、優樹の顔がどこか安堵した表情になる。
『これで美月への脅威を減らすことが出来る』
優樹の安堵はそこにあった。それに、優樹自身もこれ以上綾乃と仕事をしていくのは苦痛に感じていたので、これで少しは気持ちが楽になるかもしれないという気持ちが優樹のその表情を作っていた。
「……あれ?美月さんも残っているのですか?」
ソファーで本を読んでいる美月に優樹が話しかける。
「はい。奈緒さんから自分の仕事が終わるまでここで待っているように言われたので……」
美月が本から顔を上げて優樹に微笑みながら、そう言葉を綴る。
「まっ!優樹も今日の業務は終了しとるから美月ちゃんと仲を深めるためにも交流会みたいなのをしたらどうや?」
「ちょっ……!正志さん……!」
正志の笑いながら綴る言葉に、優樹が顔を真っ赤にしながら声を上げる。その後も、正志が優樹をいじるような発言が続き、優樹は必死で反論している。
その二人のやりとりを見ながら美月は楽しそうに微笑んでいた。
***
「……何ですか?」




