34.
施設の近くにあるカフェにやって来た優樹が食後のコーヒーを飲みながら、小さくそう言葉を綴る。
お昼休みが終わったらまた施設に戻らなくてはいけないので、綾乃と対面することになる。それが優樹の気持ちを重くしていた。
「……もう、こんな時間か……」
優樹がカフェにかかっている時計を見て、ポツリとそう呟く。
そして、会計を済ませてそのカフェを出て行く。
施設までの道を歩きながら深いため息が漏れるが、戻らないわけにもいかない。
「はぁ~……」
優樹がその場でふと立ち止まり、ため息を吐く。
(戻らなきゃな……)
そう自分に言い聞かせて再度足を踏み出そうとした時だった。
「……あら?優樹君も今日は外でお昼を食べたの?」
奈緒が優樹を見つけて、そう声を掛ける。奈緒の隣には美月も一緒だ。
「奈緒さんに美月さん……」
優樹が力の無い声でそう言葉を発する。
「……ねぇ、優樹君。ちょっとお願いがあるんだけど……」
奈緒が優樹の表情を見て何かを察したのか、そう口を開く。
「良かったら、今日はこの近くで利用者たちが○○センターで訓練しているから、様子を見て行ってくれないかしら?施設には仕事終了時間間近に戻って来てくれればいいわ」
「え……?」
突然の奈緒の言葉に優樹がポカーンとした顔でそう声を出す。
「よろしくね!○○センターにはこっちから連絡しておくわ。多分、今日はその方がいいだろうしね」
奈緒が微笑みながらそう言葉を綴る。
「奈緒さん……」
昨日の事があり、奈緒が優樹の事を気遣ってくれてそう配慮してくれているのだという事が分かり、優樹の中で申し訳なさと嬉しさが込み上げてくる。
「分かりました。では、○○センターに行ってきますね」
優樹が少しだけ笑顔になってそう言葉を綴る。
そして、優樹はそのままその足で○○センターに向かい、奈緒と美月は施設に戻っていった。
***
「……じゃあ、よろしくお願いします」




