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月は優しく桜を照らす  作者: 華ノ月


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33/47

33.


 そこへ、綾乃が職場にやって来る。


「お……おはようございます」


 優樹がその声に返事はするが、表情がどこかぎこちなくなってしまう。


「おはよう、祐樹君」


 綾乃は優樹のその表情に気付いていないのか、優樹に笑顔を向けてそう声を発する。


「今日もよろしくね♪」


「は……はい……」


 綾乃が笑顔で優樹にそう声を掛けるが、優樹の中ではその笑顔に憎しみが溢れてくる。


(いけない……抑えなきゃ……)


 優樹が心の中でそう呟いて、いつも通りを心がけようとする。


 今日は幸いにも、利用者たちはそれぞれ訓練に行っている日なので、施設はそういう時にしかできない業務に取り掛かる。


 そして、お昼休みに入り、いつものように奈緒と美月は外に食べに行くために施設を出て行く。


「優樹君、私たちもお昼にしましょう」


 綾乃が自分のお昼を鞄から出して、優樹に笑顔を向けながらそう声を出す。


「その……今日は外に食べに行ってきます」


 優樹がそう言って、足早に施設を出て行く。


 優樹が施設を出て行き、綾乃が悔しがる顔をする。このお昼休みが優樹と色々話せる時間なのに、それが出来なかった苛立ちが綾乃の表情から読み取ることが出来る。


(綾乃っちってホントに分かりやすすぎやな……)


 その様子を少し離れた場所で見ている正志が心でそう呟いた。




***


「……はぁ~、美味しかった~♪やっぱり、ここで食べるのはミートスパゲティが一番♪」


 美月がいつものネットカフェでお昼を食べ終わり、いつものように奈緒の膝に頭を乗せて満面の笑みでそう言葉を綴る。


 その言葉に奈緒は微笑を浮かべながら聞いている。


「……そうだ、美月。今日は仕事が終わったら私の仕事が終わるまで施設で待っていてくれる?」


「良いけど……。何かあったの??」


 奈緒の言葉に美月が頭にはてなマークを浮かべながらきょとんとした顔でそう言葉を発する。


「ちょっと……ね……」


 奈緒がそう返事をする。


 それを見て美月が察したのか、それ以上の事を奈緒に聞かない。


「うん。分かった」


 美月が笑顔でそう返事をする。


 そして、時間が来て二人はネットカフェを出て行った。




***


「……はぁ~……気が重い……」





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