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月は優しく桜を照らす  作者: 華ノ月


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31.


 優樹がどこか辛そうな声でそう言葉を綴る。


 同じ職場の仲間でもある綾乃がそんな事を言っただなんて信じたくない気持ちが優樹の中にはあった。でも、仮にそれが本当だとしたら、そんな事をした綾乃を許さないという気持ちも湧いて来る。


「そうね……。まだそれが本当だと決まったわけではないけどね……」


 奈緒も辛そうな表情をしながら、そう言葉を綴る。


 そこへ、正志が戻ってくる。


「急展開や……」


 正志が戻ってくるなりそう声を発する。


 そして、松木が「証拠だ」といったものをみんなで確認する。


「……てことは、松木君の話は嘘じゃないという事ね……」


 奈緒がその「証拠」で、悲しそうにそう言葉を綴る。


 傍にいる優樹もその「証拠」で、これが真実だと分かり、悲しい気持ちになる。


「……とりあえず、松木には今回の事に関しては警察沙汰にはしないと言っておいた。その代わり、二度とこんな事をしないという約束をして、次に同じような事をしたらその時は有無を言わさず警察に通報する……ってな……」


 正志がそう言葉を綴る。


「じゃあ、松木君にはこの事を誰にも話さないということで、家に帰しましょう……」


「そうだな……」


 奈緒の言葉に正志が返事をして相談室にいる松木に声を掛ける。


 そして、松木は二度とこんな事をしない事や、他の誰にも喋らないという約束をして、施設を出て行った。




***


「……ん……」


 美月が自分のベッドの上でゆっくりと目を覚ます。


「大丈夫?」


 ベッドの傍にいた奈緒が美月に優しくそう声を掛ける。


 あの後、奈緒は優樹に手伝ってもらって美月を奈緒の車に乗せると、奈緒は美月の家に行き、美月をベッドに横たわせた。そして、美月の目が覚めるまでずっと傍にいて見守っていた。


「私……」


 美月がそう小さく声を出す。頭はまだぼんやりとしていて、何が起こったかを把握できていない様子だ。


「とりあえず、今日はゆっくり休みなさい。はい、これ……」


 奈緒がそう言って、美月にいつもの薬を手渡す。


 美月はそれを受け取ると、口に流し込んでいき、また眠りに入っていった。


 美月が眠ったのを見届けると、奈緒はそっとその部屋を出て美影の部屋に入っていく。


「美月は大丈夫?」


 美影が奈緒にそう問いかける。


「えぇ、一応ね……」


 奈緒がそう応える。


 そして、美影に何があったかを詳しく話していく。


「……そんな事があったんだね」


 美影が話を聞いてそう言葉を綴る。


「……それと、ちょっと聞いて欲しいことがあるの」


「何?」


 奈緒の言葉に美影がそう声を出す。


「美月の事なんだけど……」


 奈緒はそう口を開き、美影にある事を話し始めた。





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