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月は優しく桜を照らす  作者: 華ノ月


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28.


 奈緒が叫びながら優樹たちがいる場所に駆けてくる。その場には正志も一緒に駆け付けてきた。


「一体何をしたの?!」


 奈緒が松木を睨みつけながら食い掛るように言葉を放つ。


「奈緒ちゃん、ここでは目立つやろうから、施設の方に一旦戻った方がええで」


 奈緒が松木に食い掛る勢いだったので、正志が奈緒を止めてそう言葉を発する。


「そ……そうね……」


 奈緒が我を取り戻して、そう声を出す。


「松木、お前もちょっと来てもらうで」


 正志が松木に圧を掛けるように、そう言葉を投げかける。


 そして、美月は優樹が抱えたまま、松木も一緒に施設に戻っていく。


 施設に着くと、松木に相談室に入るように促し、美月は施設に設置されているソファーに横たえさせた。


「美月さん……」


 優樹が横になっている美月の手を取り、心配そうに声を出す。


「……あれ?そういや綾乃っちは?」


「そういえば……」


 正志が綾乃とお茶に行ったはずなのに、その場に綾乃がいなかったので不思議に感じる。奈緒もそのことを思い出し、その場になぜ綾乃が居ないのかを疑問に感じる。


 そして、奈緒は綾乃に聞いてみると言って施設の電話を手に取った。




***


「……ん?」


 綾乃が鞄が震えてることに気付き、鞄を開ける。


 振動していたのは綾乃のスマートフォンだった。表示を見ると施設からだったので、とりあえず電話に出る。


『あ、綾乃さん?今どこにいるの?』


「ちょっとカフェの方に……」


 電話越しに奈緒がそう聞いてきたので綾乃は今自分がいる場所を応える。


「あの……何かありましたか?」


 綾乃が奈緒にそう尋ねる。


『美月とカフェには行かなかったの?』


「…………!!」


 奈緒の言葉に綾乃の表情が一瞬険しくなる。しかし、すぐに平静さ取り戻し、その事について説明する。


 落とし物をしたのでそれを探しに行ったこと、その間美月にはその場で待っているように伝えたこと、落し物が見つかってその場所に戻ったら美月が居なかったので帰ったと思い、今いるカフェにやって来たことを話していく。


『……そう。分かったわ』


 綾乃の言葉に奈緒が電話越しにそう声を出す。


 そして、奈緒が「時間外にごめんなさいね」と言って電話が終わった。


「……しくじったわね……」


 スマートフォンを握り締めたまま、綾乃は唇を噛み締め、ら苛立つ様にそう小さく言葉を発した。





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