24.
美月が綾乃と並んで歩きながらそう声を出す。
綾乃がお勧めのカフェは施設からそれなりに離れているらしく、かれこれ二十分ぐらい歩いていた。
「もう少しですよ」
綾乃が笑顔で美月にそう声を掛ける。
その時だった。
「……あっ!」
綾乃が突然大きな声を上げる。
「どうしました?」
美月がその声に驚きながら、綾乃にそう声を掛ける。
「イヤリング、片方落としちゃったみたい!お気に入りなのに~!!」
綾乃が右耳を指で摘まみながらそう声を上げる。
「ちょっと探してきますね!」
綾乃がそう言ってその場を離れようとする。
「私も手伝います!」
美月がその場を離れようとする綾乃を引き止めて、そう声を発する。
「大丈夫です!ちょっとここで待っていてください!見つけてすぐに戻るので!!」
綾乃が早口でそう言葉を綴り、その場を去って行く。
その場に残された美月は呆然としながらその場に立ちすくんでいた。
「ここで待っているしかない……よね?」
我に返った美月が、ため息を吐きながらポツリとそう呟く。
その時だった。
「……あれ?美月さん??」
名前を呼ばれて美月が顔を上げると、そこにはある人物が立っていた。
***
「……お待たせさせて申し訳ありません。確認が終わりましたので、こちらにサインを頂けますか?」
「分かりました。ありがとうございます」
役所に来ている優樹が、福祉課の職員にそう声を掛けられて、お礼を述べるとその場を離れていく。
「ふぅ……。ちょっと休憩しよ……」
優樹が小さな声でそう声を発する。
今日は天気が良いこともあり、暖かかったので、歩いて役所までやって来て喉が渇いてしまい、近くのコンビニに足を運ぶ。そこで、飲み物を買い、コンビニの外でそれを一気に飲み終えて施設に戻る道を歩こうとする。
その時だった。
「……あれ?」
遠くを歩いているある人物に気付いて優樹は小さな声を出した。




