23.
「この前??」
奈緒の言葉に、正志がなんの話か見当が付かなくて首を傾げる。
「優樹君って、美月の事は本気なのかしら?」
「あー……あれか……」
奈緒の言葉に正志はどの話か分かったらしく、そう声を出す。
「美月の事を本当に想っているというなら、二人がそういう関係になるのは有りなんじゃないかって思っているのよ……」
奈緒が少し寂しそうに微笑みながら、そう言葉を綴る。
今までずっと奈緒は美月の事を守ってきたので、奈緒の心の中では美月が離れるという選択に少しの寂しさがあるのだろう……。
「私は確かに美月の事をよく知っているわ……。でも、このままでは美月が前に進めないことも分かっているの……」
奈緒がどこか寂しそうな顔をしながら、そう言葉を綴る。
自分が傍にいたままでは美月は前に進めない……。
美月を手放してしまうのは寂しい……。
でも、このままではいけないのも分かっている……。
奈緒の心の中で葛藤が起こる。
優樹なら美月の事を理解してもらえる可能性もあるだろう……。
でも、それが本当に良いことかは分からない……。
「……まぁ、優樹やったら美月ちゃんには一番いい理解者になるかもしれやんな。優樹もいろいろと経験しとるし、環境もな……」
正志が意味ありげな言葉を綴る。
「えぇ……。優樹君はそれで辛い思いもしている……。でも、美月ならその気持ちは分かるかもしれないわ……」
「そうかもしれんな……」
奈緒と正志の間でそんな会話がなされる。
「まぁ、そうなったらなったで、その時はパーッと祝いやな!」
正志が満面の笑みでそう言葉を綴る。
「そうね……」
奈緒がその表情につられて微笑む。
「とりあえず、優樹が戻ってくるまでにこれだけでも仕上げるで!」
正志の言葉に奈緒が頷く。
(ホント……頼りになるわね……)
奈緒が心の中でそう呟く。
正志のその明るさが今まで奈緒に背中を押してくれていた。この施設を立ち上げてからも、その前からも、正志のその前向きな明るさに奈緒は救われているところがあった。恐らく、奈緒の中では一番自分の心を許している人なのだろう……。
「よしっ!頑張りますか!」
「おう!その意気やで!」
奈緒が正志に勇気を貰って、明るい声でそう声を発したので、正志は安心したのか、笑顔でそう応えると、二人は仕事に戻っていった。
***
「……ふぅ……、それなりに距離があるんですね」




