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月は優しく桜を照らす  作者: 華ノ月


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21.


 しばらくの間、奈緒と正志、そして優樹の三人は周囲を警戒していた。そして、美月が帰る時には、奈緒と一緒に施設を出て、奈緒が車で送っていく。朝だけは奈緒の方が早いので、美月は一人で施設にやってくる。


 美月は、帰りを毎回奈緒に送って貰う理由が分からなくて、奈緒にどうしてかを聞いたが、奈緒は詳しい話はせずに「美月を守るためよ」とだけ言って、それ以上は教えてくれなかった。


 そして、奈緒が美月を送っていく間、正志と優樹が残って業務を片付けていくことになり、綾乃がそれを見て、何があったのかを疑問に思うが、この施設では何かの時はスタッフ全員に共有するというシステムになっているので、特に深い意味は無いだろうと感じ、仕事が終わると、綾乃は帰っていった。


 ただ、綾乃の中では、施設を出る時に優樹が出てこなくなったので、気持ちを伝えるチャンスが無いことに少しの苛立ちがあったが、いくらでも時間はあると考え直して、松木に話したことをいつ実行するかを考えていた。



 そして、そんな日々が続いたある日のこと。


「あ……あの、美月さん」


「はい?」


 仕事が終わり、帰る準備をしている美月に綾乃が声を掛ける。美月は特に警戒なくその言葉に微笑みながら返事をする。


「その……相談したことがあって……。良かったら、今からカフェに一緒に行ってもらえませんか?」


 綾乃が申し訳ない顔をしながら、美月にそう言葉を綴る。


「私で良ければ構いませんが……」


 美月がその言葉にそう言葉を綴る。


 その時だった。


「綾乃さん、仕事の相談なら私が話を聞くわよ?」


 奈緒が綾乃に笑顔を向けながらそう声を発する。


「その……美月さんだからこそ相談に乗って欲しくて……。美月さんのように利用者の事を考えるためにもどうしたら美月さんのようになれるかを相談したいんです……。それに、同じ職場の仲間として仲を深めるためにも……」


 綾乃が必死にそう言葉を綴る。


「そうなのですね。良いですよ、カフェに行きましょうか」


 綾乃の言葉に美月は嬉しかったのか笑顔でそう言葉を綴る。


 奈緒はその様子を見ながら、カフェに二人で行って大丈夫かどうかを心配する。でも、綾乃が本当にこの仕事をやっていくために美月に相談したいという事であれば、止めるのも違う気がする。


 そして、美月と綾乃はカフェに行くことになり、施設を出る前に奈緒が美月に小声で話しかける。


「……美月、話の内容的に一人では無理そうだったらいつでも呼びなさいね」


 奈緒が綾乃に聞こえないようにそう言葉を綴る。その言葉に美月は「はい」と言って、美月と綾乃は施設を出て行く。


「……お勧めのカフェがあるのでそこでも良いですか?」


「はい、良いですよ」


 美月と綾乃が並んで道を歩きながら、綾乃が笑顔でそう声を発する。その言葉に美月はそう返事をして二人はカフェに向って歩きだした。




***


「……大丈夫かしら?」




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