表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月は優しく桜を照らす  作者: 華ノ月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/26

20.


 正志が優樹の表情が納得していないかもしれないと感じたのか、綾乃にその事を話さない理由を述べる。だが、正志のその理由が優樹には意外だったのか、優樹はその言葉にしばらく固まり、呆けたようにやっと声を発したのだった。


「まぁ、お前はお前で美月ちゃんに惚れとるんやろうけど」


「っ……!!!」


 正志がニヤリと笑いながら優樹にそう言葉を投げかける。その言葉に優樹は顔を真っ赤にして、声にならない心の叫びが体の中に響き渡る。


(な……な……何で知って……?!!)


 優樹が心の中で大暴れしながらそう胸の中で叫ぶ。


(綾乃っちも分かりやすかったけど、優樹も分かりやすいな……)


 正志がニヤニヤした笑みを浮かべながら、そう心で呟く。


 そして、松木に関しては周囲をしばらく三人で警戒することになり、正志に美月の事で優樹はいじられながら、居酒屋でのひと時を過ごした。




***


「……ラン♪ラララ♪ラララ~♪」


 美月がたまに来る丘へきて、歌を歌いながら踊る。


 夜空には綺麗な満月が浮かんでおり、地面は草花で埋め尽くされて、自然の絨毯が出来上がっている。


 美月が軽やかなステップで月に向って踊り出す。


 楽しそうな歌声……。


 まだ少女のようなあどけない表情……。


 あの時に止まってしまった時間……。


 心はまだ、過去に囚われたまま……。


 美月が歌いながら踊る……。


 月に照らされながら、何かを待っているように……。




***


「……はぁ~、帰ってきた~……」


 優樹が自宅に帰り、そう声を発しながらため息を吐く。


 正志に居酒屋で散々いじられて、奈緒にも美月の気持ちがバレてしまったことに内心焦っていた。


 奈緒が美月の事を大切にしているのは、施設の様子を見てもよく分かっている。その大切にしている美月を優樹が思っているという事を知って、奈緒はどう感じたのかが気になるが、その事を聞く勇気は無い。


 それと同時に、美月のある事を知ったとしても美月の気持ちはぶれない。むしろ、美月に対する想いはどんどんと膨れ上がっていく。


「はぁ~……」


 優樹が再度、大きなため息を吐く。


 美月が自分の気持ちを知ったらどう感じるのか……?


 嬉しいと感じてくれるのだろうか……?


 それとも、迷惑と感じてしまうのだろうか……?


 優樹の中でいろいろな考えが渦巻く。


「お風呂入って寝よ……」


 これ以上考えても堂々巡りになると感じたのか、優樹は小さくそう声を発すると、浴室に消えて行った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ