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月は優しく桜を照らす  作者: 華ノ月


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18.


 綾乃が夜の散歩をしていると前方から歩いてくる人物に気付いて、小さく声を出す。


 その人物を見て瞬時に「関わりたくない」という本能が働いたので、気付かない振りをしてその場を通り過ぎようとする。


「どうも~」


 しかし、その人物は綾乃の事に気付いていたらしく、親しげに綾乃に話しかける。


「こ……こんばんは、松木君……」


 綾乃が顔を少し引き攣らせながら、そう言葉を綴る。


 出来ることなら関わりたくなかったが、声を掛けられてしまったので仕方なく返事をする。そして、足早にその場を去ろうとした時だった。


「あのさ、美月さんって今日来た?」


 松木が去ろうとしている綾乃にそう声を掛ける。


「……施設によね?」


 松木の言葉に綾乃が訝しげな顔をしながらそう口を開く。


「どうして?」


 綾乃が頭にはてなマークを浮かべながら、そう言葉を綴る。


「な~んだ。俺の事は別にどうでもいいって感じか……」


 松木が自虐的な笑みを浮かべながら、そう言葉を綴る。


「……どういうこと?」


 松木が発した言葉に綾乃が眉をひそめながら、そう口を開く。


「昨日さ……」


 松木が口を開き、昨日、美月と会ってお茶をした事や、話を聞いて貰うためにちょっとイタズラ的にホテルの前まで行った事を話す。


「……でも、いざ入ろうとして優樹さんに邪魔されたんだよな」


 松木がそう言葉を綴りながら、その場にいない優樹の事を頭に思い浮かべながら、苛立ちを隠さないでいる。



 あの場に優樹が来なかったら、自分の思惑を実行できたかもしれないのに……。


 優樹の邪魔さえ入らなければ……。


 優樹が鬱陶しい……。



 松木の中でそんな思いが膨れ上がってくる。その苛立ちを手の爪を噛みながら露わにしている。


「……それ、本当なの……?」


 綾乃が愕然とした様子でそう口を開く。


(もし……それが本当だとしたら……)


 綾乃が黒い感情を蠢かしながら何かを考える。


「ねぇ……」


 綾乃が黒い笑みを称えながら、松木にある話をする。


 綾乃は何を松木に話したのか……?


 そして、綾乃の話を聞いて、松木も黒い笑みを浮かべた。




***


「……それ、本当ですか?」


「嘘やろ……」


 居酒屋にいる優樹と正志が奈緒の話を聞いて愕然としながら声を出す。


「でも、本当の事なのよ……」


 奈緒が目を伏せがちにしながら、そう言葉を発する。


「それに……」





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