14.
優樹が意を決して、そう口を開く。
「そ……その……、昨日の事は大丈夫ですか?」
「昨日の事??」
優樹の言葉に美月が何のことか分からない様子で、頭にはてなマークを浮かべる。
「だから……その……松木君に……」
優樹がどう話していいか分からなくて、言葉が途切れ途切れになる。
昨日のファッションホテルの前でなぜ二人がそこにいたのかを聞きたいのだが、「ファッションホテルの前にいた」という事をストレートに聞いていいかどうかが分からない。美月がその事をあまり考えたくないのだとすれば、やはり、この話をしない方が良かったのかもしれないと、後悔が込み上げる。
「松木君がどうかしたのですか??」
美月が何の事を言っているか分からないという表情で、頭にはてなマークを浮かべたままきょとんとした顔でそう言葉を綴る。
「えっと……」
美月の表情と言葉に優樹が言葉を詰まらす。
つい昨日の事を忘れているという事は考えられないが、美月の表情からは何のことか分かっていないように見える。
優樹の中でどうしようという想いが膨らむ。
「その……昨日松木君にホテルに連れ込まれそうに……」
優樹が恐る恐るその言葉を綴る。
「何のことですか??」
「……え?」
美月の言葉に優樹が唖然とした声出す。
美月の表情を見ていても、嘘をついているようにも、誤魔化しているようにも見えない。
『本当に何があったか分からない』
美月の表情はそんなことがあったなんて思っていない顔をしている。美月のその表情が演技でもないことを物語っている。
優樹の中で、何が起こっているのかを整理する。
美月が嘘をついているのか……?
それとも、本当に昨日の事を覚えていないのか……?
でも、美月の言葉に優樹が表情を読み取る限りでは、美月は本当に何も覚えていないように見える。
「……優樹さん?」
美月が優樹を心配そうな顔をしながら声を掛ける。
「えっと……その……、きょ……今日も仕事大変だったね!」
優樹が話題を変えるためにわざとらしい明るい声でそう言葉を綴る。
「昨日の佐野さんの対応は凄かったですよ!だって……」
優樹が話題を変えるために、昨日の佐野がキャバ嬢になりたいと言った時の美月の対応が凄かったことを話しだし、褒め称えだす。
優樹は昨日の事は触れないことにして、美月と雑談をしながら、時間を過ごしていった。
***
「……で、ここに飲みに来たっちゅうことは、話があるんやろ?」




