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月は優しく桜を照らす  作者: 華ノ月


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11.


 いつものように朝の仕事の事前準備が終わり、奈緒が美月たちに伝えることがあると言うことで話し始めた。


 話は松木を利用停止にするという話だった。理由は松木の発言や行動で、他の利用者が実際に困っていること。他の利用者が安心してここを利用できるようにするためにも、松木は利用停止と言うのが一番妥当だろうという事になったと話す。


「……と、いう事なんだけど、松木君の利用停止に反対の人はいる?」


 奈緒の言葉に誰も反論しない。


「じゃあ、松木君は利用停止という事で異存はないわね?」


「「「はい」」」


 奈緒の言葉に美月たちがそう返事をする。


 そして、奈緒はその事を松木に伝えるために電話を手に取り、美月たちはいつものように仕事を始めた。




***


「くそっ……くそっ……」


 松木がアパートで昼間からビール缶を片手にそう呟く。


 その顔は苛立ちが滲んでおり、何かに悔しがっているのが一目でわかる。


「利用停止なんて受け入れられかよ……」


 松木が手に持っているビール缶を一気に飲み干し、苛立ちを押さえずにそう小さく呟く。


 所長である奈緒から電話があり、「他の利用者にも影響が出ているから」と言う理由で事業所の利用停止を言い渡された。そうなると、当然、美月とも関わる事は出来なくなる。


 それが、松木の苛立ちの原因だった。


「なんとかして美月さんと関わることが出来る方法があれば……」


 松木がそう呟きながら、何か良い方法がないかを考える。


 しかし、特に良い案が出ずに、苛立ちはどんどん募っていく。


「こうなったら……」


 松木が何かを思い付いて、小さくそう口を開く。


 松木の瞳に鈍い黒色が光った……。




***


「……おはようございま~す!」


 元気に挨拶をしながら施設にやって来たのは古賀だった。


「おはようございます。元気が良くていい事ね」


 奈緒が古賀に笑顔を向けながらそう言葉を綴る。


「だって、松木君が来る予定だったのに来なかったからね!おかげでのびのびとプログラムが受けれたんですよ!」


 古賀がブイサインをしながら満面の笑みでそう言葉を綴る。


「それなら良かったわ。これからも頑張ってね!」


 奈緒が古賀にそうエールを送る。


「はい!……でも、また一緒になった時の事を考えると憂鬱になりますけどね~……」


 古賀が元気よく返事をした後で、少し落ち込み気味にそう言葉を綴る。


「……ちょっとごめんね」


 奈緒がそう言って、古賀に小さな声である事を話す。


「ここだけの話だけど、松木君はもう来ることないから、しっかりプログラムに取り組んでね」


「え……じゃあ……」


 奈緒の言葉に古賀の表情がみるみると明るくなってくる。


「じゃあ、これからも頑張ってプログラムに励んで、一般就労を目指しましょうね!」


 奈緒がいつもの声で古賀に笑顔を向けながら、そう言葉を綴る。


「はい!!」


 その言葉に古賀が満面の笑みで返事をした。


「おはようございます~。あの……」


 そこへ、佐野が施設にやって来て、始まる前に美月と話が出来ないかを聞いてくる。


 奈緒はその事に了承して、美月と佐野は相談室に入っていく。


「どうしましたか?」





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