表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/76

第五十章 主人公VS魔法少女 その2

50.3 主人公VS魔法少女 試合模様その二 主人公側


「う~、寒いよぉぉぉ~、辛いよぉぉぉ~、凍えるよぉぉぉ~」


 アラトはぼやきながら独りで寒さに耐えていた。


 インナースーツとパワードジャケットに付与されている体温維持機能に頼っても、十分に寒さを感じる。アラトは廃墟ビルの一角に身を隠し、ただひたすら極寒地獄に耐えているのだ。



 §   §   §



50.4 主人公VS魔法少女 試合模様その三 魔法少女側


「そろそろいいのではないですか、シルフさん」


「そうよねぇ~、敵さんが姿見せないから判断に困るのよねぇ~」


「シルフさん、敵を追い立ててもらえないですか」


「いいわよ、ちょっと敵さん捜してみるわ」


「お願いしますわ」


 二人はブリザードを解除した。風の精霊シルフは宙を舞い、廃墟ビル内を外から捜索する。


「風の雰囲気が、この辺だって教えてくれてるのよねぇ~」


 風の精霊は空気の動きで、生物の存在を探知できる。近ければ近いほど、その精度は上がる。


 とある廃墟ビルの壊れた窓から中を確認すると、そこに敵の姿があった。


「あっ、敵さん見っけ! さぁ、逃げ回ってないで観念なさい!」


 敵の男がシルフに気づくと、げっ、と声を出し一目散に逃げ始めた。


「あっ、コラッ! 待ちなさいってば! こんなきれいなお姉さんを見て逃げ出すとか、ホント男らしくないわね!」


 シルフは羽根扇子で強風を起こし、敵がジェット噴射で飛び逃げようとするのを妨害する。


 敵の男はバランスを崩し、うわぁぁぁ~、とか言いながら方向転換、隣の部屋に逃げだすと、そこにはウンディーネが腰に手をあて立ちふさがる。


 もう一度、うわぁぁぁ~、と叫んで通路へと飛び出す敵の男。その勢いのまま、宙に浮かぶ水の塊に突っ込んでいった。


 その通路には、水の精霊があらかじめ『水玉地獄』の罠を張っていたのだ。『水玉地獄』は、第一回戦で対戦相手の女戦士クレオパトラ・ヴィーナスを場外負けにした時に使った魔法だ。


 水の精霊魔法で作られた空中に浮かぶ水の塊にはまると、水中を進む推進装置でもない限り、単独で脱出することは非常に困難なのだ。


 無重力かつ真空の宇宙空間で、人間が推進装置未装備のまま手足を振って前進しようとしても、反作用が働かないため行きたい方向に進めない理屈と酷似する。


 つまり、水の底に沈められたのと同じで、脱出できなければ窒息死してしまうのだ。


 ウンディーネとシルフは仲良く並んで、水玉地獄の中の男に手を振った。


「早く降参しないと死んじゃうわよぉ~」


 シルフがにこやかに語りかけるが、中の男にはおそらく聞こえていないだろう。


 ふと、何かに気づくウンディーネ。


 男をよくよく観察すると、口に何かくわえている。スキューバダイビングのレギュレーターのようなもの。かといって酸素ボンベを背負っているわけではない。しかし、空気の泡がブクブクとそこから沸いて出る。


 どうやらそのレギュレーターもどきは、水中で酸素を供給する小型の呼吸装置らしい。


 ジロジロと観察されていることに気づいた水中の男が、ニンマリとして二人に手を振った。


「なにこの男? 呼吸してるわけ?」


「悔しいことですが、どうやらそのようですわ、シルフさん」


 悔しがる二人をよそに、敵の男はいきなりビルの外壁に向けてレーザー銃を放つ。壁が崩れ、大きなあなが開いた。


 続けて、通路の天井に向け射撃すると、天井が崩れて瓦礫がれきの一部が宙に浮かぶ水玉に落ち、中の男がキャッチした。


 両手でつかんだ瓦礫を勢いよく放り投げる。その反動で、うまいこと水玉地獄から脱出し、先ほど開けた孔から外へと飛び出した。


「いったいどれだけ逃げ回る気よ……」


 シルフは大袈裟に溜息をついた。



 §   §   §



50.5 主人公VS魔法少女 試合模様その四 主人公側


 二人の精霊からうまく逃げ出し、一息つくアラトの姿が廃墟の片隅にあった。


「ふぅ~、良かったぁ~、ギリコのおかげでホントに助かったぁ~」


 ギリコが第一回戦でクレオパトラ・ヴィーナスと名乗って魔法少女と対戦していたので、先ほどの『水玉地獄』の戦法は知っていた。おかげで事前に、物体を投げて反作用を使う対処方法を聞かされていた。


 そして小型レギュレーター——超小型の酸素ボンベが付属する酸素供給装置——の存在が大きい。


 それを準備してもらっていたおかげで、最初の火災旋風による酸欠地獄も乗り切ることができたのだ。運のいい偶然であったが、同時にメチャメチャ熱いのを我慢し凌ぎ切ったのは、アラトの忍耐と努力によるものだ。



【作者より御礼】

 数ある作品群から選んでいただき、かつ、継続して読んでいただいていることに、心から感謝申し上げます。


【作品関連コンテンツ】

 作品に関連するユーチューブ動画と作者ブログのリンクは、下の広告バナーまで下げると出てきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【※『インスパイアリング・リスペクツ―マルチバース・コロシアム―』関連コンテンツはコチラから!】

『インスパイアリング・リスペクツ―マルチバース・コロシアム―(シーズン1)』へGO!
ユーチューブチャンネル『なんちゃってAI小説家』へGO!
シーズン2OPテーマ曲『僕はヒーローじゃない』へGO!
シーズン2EDテーマ曲『My Album』へGO!
作者ブログ『なんちゃってAI小説家』へGO!

【活動報告について】
ユーチューブとブログの投稿情報は活動報告に掲載しています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ