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第四十四章 未来人VS呪い その1

44.1 第二回戦第三試合 未来人VS呪い 対戦情報


 観戦モニターに表示されている対戦情報より。


 闘技場について。


 本日の闘技場はCタイプ。


 ドーム型の閉鎖された密閉空間。


 グレート・スミスについて。


 未来から来た地球人男性。


 エンデューロ系オフロードバイク1400ccを駆る。


 未来兵器

 ・運動エナジー停止光線銃

 ・物体十分の一縮小ネット

 ・重力地雷

 ほかについて情報不足


 女子高生について。


 本人希望により全て開示不可。



 §   §   §



44.2 未来人VS呪い 試合開始前 アラトの部屋


『シアイカイシ、3プンマエ』


 モニター画面右側のゲートが開くと、バイクに乗ったタキシード姿の男性が入場してくる。初期配置と思しき位置で停止し、エンジンを切ってバイクから降りた。


 背中には銀色の『縮小収納バックパック』を背負う。未来人グレート・スミスの未来兵器が収納された未来系リュックだ。


 一方、画面右側で会場中央付近の『迫り』から、セーラー服姿の人影が入場した。かわいらしい女子高生、第一回戦同様、スマホだけを手にしている。


『シアイカイシ10ビョウマエ、9、8、7……』


 ついに試合が始まる。アラトは無言で女子高生、貞神月子の無事を願った。



 §   §   §



44.3 未来人VS呪い 試合模様その一 女子高生側


 女子高生のツキコは、『呪いのスマホ』を構えた。


 とにもかくにも、スマホで対戦相手の写真を撮りさえすればいい。なぜなら、被写体となった相手がツキコに攻撃を仕掛けてくると、その相手に天罰が下って自滅させるという呪いだからだ。


 第一回戦におけるプロゲーマーとの一戦は非常に稀なケースで、紆余曲折うよきょくせつあった。しかし負けるというのは考えにくい。そういう類の特殊能力なのだ。


 16歳のツキコは決して戦士としての訓練を受けているわけでも、経験が豊富なわけでもない。ただ、己にかかっている呪いから解放されたくて優勝を目指しているだけのこと。


 対戦相手であるスミスには申し訳ないと思う。


 スマホに天罰を与える能力があるとは想像もできないだろう。しかし、勝ち進むためには仕方ない。優勝しなければ望みは叶えてもらえない。


 試合開始の合図があるまでは、能力発動となる写真撮影は禁止されている。フライング行為は失格になると、大会運営から厳しく警告されているのだ。遵守しなければ負け、さすがにそれは避けたい。


 呪いを発動させるためにはさまざまな撮影条件がある。被写体の全身8割以上を捉えないといけない。スミスはエンジンを停止させたままバイクにまたがっているが、被写体の角度的に申し分ない。


 ツキコは緊張した。手が震えないようにしっかりとスマホを握る。


『……3、2、1』


 スミスが消えた。


『ゼロ!』


 カシャ!


「えっ?」


 スミスは、カウントゼロの一瞬手前でバイクの陰に隠れたのだ。当然撮影は失敗。


 狼狽ろうばいするツキコ。ふと頭上の何かに気づく。スミスがカウントゼロ直後に銀色の何かを放り投げてきたらしい。銀色の物体が放物線を描いて飛んでくる。彼女は混乱しながらすぐに走り出した。


 スミスが投擲とうてきした銀色の物体——小さな水筒に見えなくもない——から、グレイのガスがシューシューと吹き出してきた。物凄い勢いで辺りが薄暗い灰色の霧に包まれる。もう周囲は何も見えない。


 徐々にブ~ンという蜂の羽音が会場内に木霊こだまし始めた。それも数匹とかのレベルではない。実際に霧の中を舞い跳ぶ蜂を視界に捉える。おそらくスズメバチ、数は益々増えていく。百匹を超える蜂が霧の中を埋め尽くしていた。とても耳障りな、そして不気味な羽音の合唱だ。


 ツキコは腰が抜けたようにしゃがみ込み、心底怯えた。



 §   §   §



44.4 未来人VS呪い 観戦模様 アラトの部屋


「あぁ、ツキコちゃん! 早く逃げて!」


 アラトは見てられないというふうに、両手で両目を覆った。



 §   §   §



44.5 未来人VS呪い 試合模様その二 女子高生側 前編


 ツキコは涙目になりながら思考する。


(まさか、この人、スマホのことを知っている? そうとしか考えられない……)


 そしてある事に気づいた。


(バイクの音がしない……。バイクはどこ? あの人はどこ?)


 蜂に襲われないようにしゃがみ込んだまま極限まで体を小さくし身を守る。スマホが呪う対象は一人まで。百匹の蜂を撮影しても意味は無い。


(バイクに乗ってないなら、歩いて近づくはず……。だったら、そこで撮る!)


 ツキコは唇をキュッと結んだ。瞳に闘志が沸く。


 周囲を見渡し、警戒する。


(あいつは必ず姿を見せる。なんてったって、こっちは女子高生だもん。絶対油断してるわ)


 しばらく待った。


 案の定、シルバーのタキシードを着た対戦相手が霧の中から姿を現した。ゆっくりと歩き間合いを詰めてくる。



【作者より御礼】

 数ある作品群から選んでいただき、かつ、継続して読んでいただいていることに、心から感謝申し上げます。


【作品関連コンテンツ】

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