報道
俺たちは牢獄に入れられた。
脱獄を計画する俺たちだったが、どうやらそれは無理らしい
「続いてのニュースです」という言葉と、その後に続く『令和の赤穂浪士』というテロップから、この1ヶ月ずっと逃げ惑っていた。全盛期は四つものテレビ局の、ゴールデンタイム直前のニュースの、ほぼ同じ時間帯で俺たちのことが報道されていた。
良いニュースより悪いニュースの方が、人々の心に印象づけられることが多いようだが、移りけな大衆たちは、それでも3年経つとみな忘れてしまっていることが多い。
それでも、俺たち『令和の赤穂浪士』のニュースは、地震大国日本において今や月に一度流れるようになった「あの地震から〇〇年」のニュースのように、数年間人々の記憶に残り続けた。
そして、今日、俺たちは逮捕された。不法賭博の店が摘発された時、たまたまそこに俺たち30人が居合わせたのだった。
〜本編〜
おい、俺は保健所に向かうトラックの中に、無理やり投げ込まれる犬かよ。
一つの檻の中に三人が収容され——本当は、収容という名の投げ飛ばしだった。看守みんな柔道黒帯らしいぜ——空室が多かった刑務所の檻がいっぺんに十個もうまり、「犯罪者のいない刑務所」の汚名を返上できたと看守は大喜びだった。
「くそ! おいみんな! どうにかして脱獄してやるぞ!」
俺の遠吠えは、虚空に消えた。