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しだらでん  作者: レンズマン
1/9

プロローグ そのいち

「がんばれシダラ! それが望みだろ」

「いいお天気だなぁ」

 馬車は街道を行く。

 オレンジ色のポニーテールが、馬車の振動に合わせて揺れている。手綱を握るナギ・タタラは、緩み切った表情で日の光を浴びていた。

 機能性を重視した上着は、上下と左右に一つずつ計四つのポケットがついている。また、着用しているのは長ズボンだった。そこにも、少なくとも二つポケットが見える。さらに、小さな鞄を革のベルトを通して肩にかけている。

 何をそんなに持ち歩くことがあるのか。表情こそ緩み切っているが、こう見えても商人だった。

 ところで、彼女の手綱の先、馬車を引くのは馬。……ではない。

「ほーちゃん、疲れてないかい」

「ぱぱお」

 伸びきった声をかけると、同じく呑気な返事をした。

 この動物は馬と言うには体が丸く、象と言うには体が小さい。特徴的な平たく長い鼻はやはり象のようでもあるが、水を飲むために使っているのを誰も見たことがない。わかっているのは、草食であるという事と、まあまあ馬力があるという事。商品や生活用品といった多くの積み荷と四人の人間を収容できる大きな馬車を一頭で率いている。

 呑気に歩くこの動物は、仮にホースラディッシュという名前を付けられている。馬車を引く馬と、ラディッシュと言う丸っこい野菜を掛け合わせたネーミングだった。

「お前が何か分かんなくても、可愛いことに変わりはないけどねー」

「ぱぱぁお」

 人間の言葉をどこまで理解しているかわからないが、仲間たちが声をかけるととりあえず返事をしてくれる。それがこいつの可愛いところの一つだった。

 穏やかな風が吹いた。風に揺られて木々がざわめく。ホースラディッシュのたてがみがフサフサと揺れた。


 馬車の中。カーテンと窓を抜ける太陽の光が薄明るいこの場所で、黒い髪の少女がくんくんと鼻を鳴らした。

「どうした」

 隣の男がそれに気が付く。茶色の髪の男は片足を曲げ、もう片足を前に伸ばして座っていた。

「鉄の匂いがする。足音も。盗賊かもしれない」

 少女の言葉にうなずいて、男が立ち上がった。

「僕が行こうか」

 向かい側に一人で座っていた別の男が声をかける。壁にもたれかかっている彼は俯いていて、幅広の帽子の下の表情はうかがえない。

 声をかけられた男は首を横に振った。

「一応交渉してみる」

()()()

 少女が男の名前を呼んだ。シダラは、彼女の頭に手を置く。優しくなでてやると、少女は目を瞑ってソレを受け入れた。

 ふと目を開けると、顔を上げていた向かい側の男と目が合う。色白の美しい顔立ちの男だった。彼は、目を閉じて大げさに首を振る。明らかにからかっているその態度が不満で、少女は眉間にしわを寄せて抗議の視線を向けた。

「二人とも、備えとけ。出番が来たら呼ぶ」

 声をかけられて、仲間たちは頷いた。

 シダラがカーテンに手をかけ、陽の光を浴びる。


 幕が、開いた。


 ☆☆☆☆☆

 

「……と言うわけで、身ぐるみ剥がせて頂きたく……」

 両手でゴマを擦るような仕草をしながら、盗賊頭は無茶な要求を申し上げた。

 盗賊の仲間は馬車を取り囲むように陣取っていた。見える範囲だけで4人居る。装備は汚れているが、ブロードソードや金属の鎧など、盗賊にしては良い身なりをしている。先頭の、交渉を行っている盗賊頭に至っては、フルフェイスの兜まで着用していた。

 ほーちゃんはというと、屈んで口を地面まで近づけて、呑気に道に生えた草を食べている。やはり鼻は使わない。

 敵と相対するのはシダラ。

 彼は肩当てとマント、大きな杖を持った魔導士の格好をしていた。マントの下には皮鎧が見える。陽の光に晒された短い頭髪は、茶が混じった赤のような色をしていた。

「丁寧に言われてもな」

 言いながら、ため息をつく。

「イヤイヤ、そちらは()()様でございましょう。()()()の身分としましては、後のこと考えてお顔を立てておきたいわけでございまして」

 そう言うと、彼は兜を外す。チョビ髭を生やした初老の男。鉄の面に隠れていた素顔はヒトと大差なかったが、頭に二つの角が生えていた。

 角を見てから、相手の目を見る。笑みを浮かべてこそいるものの、油断はしてない。いつでも襲い掛かる気構えで、こちらに怪しい素振りがあれば即座に剣を抜くだろう。観察するシダラの細い目は目つきが悪く、威圧感があった。

「身包み剥いだ相手に後で許せはねェだろ」

「はひゃひゃ、確かに。……で?」

 わざとらしく笑った後、彼の声のトーンが落ちる。目元はまだ笑っているが、開いた口が小さくなった。

「覚悟はできまして?」

 周囲の盗賊たちが一斉に武器に手をかけた。

 緊張感が高まっていく。次のシダラの返答次第で、襲い掛かるつもりだ。

 盗賊たちは心の中であざ笑った。魔法使いが一人。どれだけの実力か知らないが、囲んでしまえばこちらのもの。さっきまで手綱を握っていたあの若い女商人、よほど世間知らずだったと見える。このご時世で、剣も使えない護衛を雇うなんて。その小さな馬車の中で震えている事だろう。

 シダラは頷くと、不思議な言葉を呟いた。

「ああ。……()()!」

「アコ? なにそれ」

 盗賊頭が疑問を呈すると、同時に強い風が吹いた。一瞬、気がそがれる。

 それは偶然のタイミングだったが、()()にとっては存在に気付かれるまでの時間稼ぎになる。文字通り追い風になった。

 何か黒い影が視界の端を通った気がした。しかし、その正体に気付いた頃には、もう遅い!

 ゴッ! 顎に強い衝撃を受けると、盗賊頭の頭が一瞬大きく仰け反り、脳を揺らす。そのまま意識を手放して、膝から崩れ落ちてしまった。

 其処に居たのは、少女だった。薄い布の服と下履きを着用しているが、袖を巻くって肌を出している。肌は灰褐色をしていて、対照的に白い髪が特徴的だった。腰には短刀が二本、革製の鞘に収まっている。

 右腕をまっすぐ上に伸ばして、アッパーを繰り出したらしい。真っすぐ拳を引くと、すぐにシダラを見る。彼女の瞳には怒りが滲んでいた。

「俺は良い名前だと思うぜ、()()

 ニコッ!

 名前を褒められると、アコは笑顔になった。

「か、かかれぇーっ」

 頭が倒されて動揺していたが、誰かが号令を出すと、周囲の盗賊たちがシダラとアコに襲い掛かる。

「こっちは気にするな、暴れてこい!」

 アコは近くの敵に突進する。敵は予想以上の速度に驚き、慌てて剣を振るうが、アコは彼を無視して後ろに回る。すると、油断していた別の敵に攻撃を仕掛けた。短剣を一本抜くと、肩に深く突き刺した!

 背後で悲鳴を聞きながら、先頭の盗賊がシダラに襲い掛かった。反対側に居た仲間も合わせて、同時に攻撃を繰り出す。シダラの口が動いている。彼は、既に()()していた。

「“疾風よ、集いて敵を薙ぎ払え”。ワールウィンド!」

 目に見えるほどの魔力を帯びた風が緑色の光を纏って、シダラの左右後方から前に交錯するように吹きつけた!

 襲い掛かってきた盗賊たちをまとめて吹き飛ばすと、森の木や地面に叩きつけた。もんどりうった後にやっとこさ体を起こそうとするが、そこへアコの影が急接近した。

 アコは敵の身体に素早く刃を突き立てて、一人、二人、三人と、どんどん敵を無力化していく。最後の一人に攻撃を仕掛けようとすると、彼は恐怖におびえ顔を庇った。ところが、アコは何かに気付いて、振り返る。

「7時から火矢!」

 シダラはアコの声を聞いて、馬車に向かって叫ぶ。

()()()、出番だ!」

 馬車の後ろの幕を開けて、一人の剣士が飛び出した。幅の広い大きな帽子と、帽子に飾られた薔薇が印象的だ。次の瞬間、彼の視界に火矢が飛び込んでくる。すでに眼前に迫っている火矢を躱すことは困難だ。それに、もし躱してしまえば、火のついた矢は馬車を燃やしてしまうだろう。

 ところが、その男は帽子で目元を陽の光から隠しながらも、口元は余裕の笑みを隠さなかった。右手に握ったのは、柄に宝石飾りをあしらった華美な剣。それを、信じられない速度で振りぬくと、幅の広い二等辺三角形のような刀身が火矢を両断した。

 レイドは身を翻して空を舞うように旋回し、華麗に着地する。そして、太陽を仰ぎ見た。

「太陽の光が、僕の美しい剣技を照らしている」

 だ、誰に言ったんだ!? 木々の間の影になった場所で、狙撃手は心の内で叫んだ。火矢を放ったのは彼女だったが、飛び出してきた剣士(レイド)の信じられない技量に度肝を抜かされていた。

「もちろん、君さ」

「え」

 大げさに右腕を回すと、狙撃手めがけて剣先をピタッと止める。次の瞬間、レイドは走り出した!

 狙撃手は悲鳴を上げて逃げ出した。弓を手に持ったまま、森の木を陰にして慌てて距離を取る。

 ズバッ!

 姿を隠すのに利用した大木に、斜めに光が(はし)る。光に沿って幹がズレていくと、大木はあっさりと切り倒されてしまった。その先には、剣を回してポーズをとっているレイドの姿。

「逃げられないよ、僕からは」

「ま、参りました」

 これだけの実力差を見せつけられば、戦う気力もない。狙撃手はあっさりと降伏を宣言し、武器を置いた。


 戦闘開始から間もなく、アコを主力としたシダラ一行は盗賊たちを瞬く間に殲滅していく。時を置いて馬車の幕からナギが顔を出した。

「お、終わりました?」

 馬車の近くに陣取って、全体を見ているシダラに声をかけた。

「多分な」

「アコちゃんは?」

 シダラは視線でアコを探す。最後の一人、火矢が飛んで来て攻撃し損ねていた相手の胸倉を掴み、激しく揺すっている。背の低い彼女が相手を持ち上げたところで身体は宙に浮かない。膝立ちの敵は激しく首を揺すられて涙目になっていた。

「ああああ! 降参降参! 降参するから揺らさないで~、ヴォエ」

 どさっ! アコが手を離すと、顔面蒼白の男は地に伏した。首と脳に甚大なダメージを負い、白目を剥いて涎を垂らしながら僅かに痙攣している。

「か、片付いたみたいだね」

 シダラは返すことはを持たなかった。文句はない、文句はないが。二人はアコの将来を不安に思った。

 その時、アコが何かを感じ取って慌てて振り返った。最初に火矢が撃たれた方角を見上げている。

「シダラ、魔物が来る!」

 警告から間もなく地響きが鳴り響く。等間隔で発生するこの衝撃は、足音だった。

 振動に反応したのか、盗賊頭が目を覚ます。そして、足音の正体に気が付くと、悲鳴を上げた。

 半透明だった身体は少しずつ実態を現していく。それは、見上げるほど巨大な一つ目の巨人だった。森の木々よりも頭一つ大きなその巨体は雑草をかき分けるように、木々をどかしてこちらに近づいている。

 巨人から逃げるように、同じ方角に居たレイドが森から飛び出した。左手は狙撃手の襟を掴んでいる。

「驚いた。あんなに大きいのに、()()()()()姿()()()()()()()()なんて。魔物って、本当に厄介だよね」

 言いながら狙撃手を解放する。襟を掴まれて喉が閉まっていたからか、しばらく咽ていた。

「あ、あんなに大きな魔物、見たことがない。に、逃げろ!」

 狙撃手が言うと、盗賊たちは我先に逃げ出していく。

 巨人は、ついにこの場へと現れる。そして、逃げ出す盗賊たちを見ていた。そして、口端を釣り上げて下品な笑みを浮かべる。近くの木を片手で引き抜くと、軽く放り投げた。彼にとっては簡単な動作だが、そのパワーは見た目相応、ひょっとしたらそれ以上で、重い木が山なりに飛んでいく。

「うわぁ!」

 目の前に木が落ちてきて、盗賊たちの逃げ道を塞いでしまった。

「不用意に動くな! 散会しつつ、木の影を使って視線から逃れろ!」

 盗賊頭が慌てて部下たちに指示を出した。彼の指示に従い、部下達は散らばって巨人の視線から外れていく。

 部下たちが離れていくのを見て、盗賊頭も逃げ出した。シダラ達はそれを引き留めようとはしなかったが、それでも彼は足を止めた。見上げれば、眼前に巨人が迫っていた。自分の5倍以上の新調の巨人が影を落とす。矮小な存在を見て、奴は笑っていた。その存在に恐怖し、思わず腰を抜かす。

「ナギ、いつでも逃げ出せるように、手綱を握っててくれ」

「うん!」

 ナギは荷台の前、御者席に腰を下ろすと緊張した面持ちで手綱を握った。ホースラディッシュは巨人におびえて身を丸くしている。そんな彼の背に、手綱はパシッ、と乾いた音を響かせて、背中を叩く。

「起きて、ホースラディッシュ!」

 喝を入れられ、ホースラディッシュは気を持ち直し、すくっと立ち上がって前を向いた。

「アコ、レイド。やるぞ!」

 シダラは杖を構えて気合を入れる。彼の元へアコ、レイドが駆け付ける。

「仕方がない」

「やる気無いならあっちいって」

 マイペースなレイドと、彼に辛辣なアコ。

 レイドは幅の広い帽子を上げて視界を確保し、アコは姿勢を低くして攻撃の用意をした。

 巨人がまた、傍らの木を抜く。彼の視線がこちらに向いているのを確認すると、シダラが声を張る。

「レイド、方陣! アコ、足から登れ!」

 アコが駆け出すと同時に、レイドが剣で地面を一凪ぎする。目にも留まらぬ速さの斬撃は、地面に広く斬れ跡を残す。

 準備を終えたレイドは、剣を後ろ手に回し、帽子を下ろすことで目線を隠す。この所作に深い意味は無く、ただのかっこつけだ。

()()()

 呟きと共に、白い半透明な壁が地面の斬れ跡から伸びて、障壁となった。障壁は、巨人の木の棍棒の一撃を防ぐ! 衝撃を受け止められ、巨人の顔に戸惑いの表情が生まれた。

 その間に、シダラは呪文の詠唱を終える。魔力を高め、精霊へ敬意を払い、最後に術の名前を言い放つ!

「“烈火よ、矛先に飛翔せよ”。ファイアアロー!」

 杖の先端が輝くと、装填された魔力を基に、目には見えない精霊が力を形作る。

 矢のように素早い炎の玉を飛ばし、着弾地点を焼き尽くす魔法だ。普通なら掌大の大きさの球を放つが、魔力を込めることで二、三倍まで大きくすることができる。シダラは詠唱が速く、その分魔力を込める時間も確保できている。実際にこの火球は、両手を大きく広げたほどの大きさに成長していた。

 狙うは巨人の顔、大きな目玉。狙ってくれと言わんばかりのその部位を、シダラは弱点であると予想していた。

 左腕と木の棍棒をすり抜け、眼球に迫る。ところが、大岩のような巨人の右手が火球との間に入ると、いとも簡単に叩き落されてしまった。

「そんな、あんなに大きな火球をいとも簡単に」

 盗賊頭の顔が青ざめる。少し前まで敵対していたが、今となってはシダラ達が頼みの綱だった。

 一方、攻撃が通用しなかったシダラには焦りの色が見えない。そして、巨人は異変を感じて自分の左足を見た。

 アコが足を()()()()()。両手の短刀を交互に刺して、腕の力だけでクライミングをしている。

 瞬く間に膝を越え、腰に迫ろうとしている。巨人は慌てて左足を振るい、それでも落ちないアコを手で払い落とした。アコは直前で距離を取って攻撃をかわす。

「行けるか?」

 シダラは傍らの剣士に声をかける。

「勿論」

 剣士は深く帽子を被る。視野をあえて狭めることで、集中力を高めているのだ。右腕で構えた剣を前に向けて、膝を曲げ、腰を落としている。帽子の影の中、鋭く光る瞳が獲物を見据えていた。

「“我が剣の”」

 溜めた力を解き放つ。彼が走り出すと、その衝撃で突風を巻き起こした。

 巨人はアコを追い払うために、左足を上げた。直前にアコは残像を残して素早く離脱する。

 そこへ、風を纏った剣士が走る。レイドが狙うのは、片足を持ち上げて全体重が乗せられている()()

 最後の踏み込みと同時に剣を前に突き出し、一足で巨大な足の向こう側を目指す!

「“煌きを見よ”」

 光の閃が、巨人の足を(はし)った。巨人の後ろに回ったレイドは剣を振り回している。そして、その剣の動きが止まると同時に、巨人の足が斬撃によって切り落とされた!

 巨人は悲鳴を上げ、斬り落とされた右足に体重を寄せて倒れてしまう。レイドは、自身の剣技に満足し、微笑んでいる。

 この男、レイド。向かうところ敵なしの無敵の剣士。美しく鋭い剣技を持つ。難点はこの性格。彼は、生粋のナルシストであった。

「頃合いだ、ずらかるぞ!」

 シダラの号令が聞こえて振り返る。レイドは、このまま戦い続けてトドメを刺すつもりだったが、リーダーの指示に従って彼等の元へ駆けつける。

「アコ、そいつ拾え」

「のああっ、な、何を」

 アコは無言で盗賊頭を持ち上げた。金属鎧を着た男性をいとも簡単に持ち上げると、アコは馬車の荷台に飛び込む。その後にシダラ、レイドが続いた。

 その間に、巨人は身じろきを続けている。それを見続けていたナギは、異変に気が付いた。

 切り落とされた巨人の足、その断面から管のようなものが伸びていく。それはやがて、同じく本体の断面と結びつくと、接合しようと互いの距離を近づけていった。

「い、行くよ!」

「ぱぱーぁお!」

 手綱でたたかれたホースラディッシュは雄たけび一つ上げて、勢いよく走り出す。馬車を引きながら大きく弧を描き、進路を反転すると大急ぎで巨人から離れた。シダラが馬車の後部に移動し、幕の隙間から顔を出して、外を見た。その頭の上にレイドが顎を乗せ、さらにその上にアコが頭を乗せた。

 三人は立ち上がっていく巨人を見た。信じられない再生力に、三人は驚く。

「逃げてよかった」

 安堵の声を漏らしたのは、シダラ。

「別に倒してもよかったんだけどね」

 まだ呑気なことを言うレイド。

 何も言わず、巨人を見続けているアコ。二人が後ろを見に来たので、なんとなく見に来ただけだったりする。

 ……再生力に驚いたのはシダラだけだったかもしれない。

 そんな三人の背中を見ながら、浮かない表情をしている人物が一人。

 盗賊頭が握る拳に思わず力がこもる。シダラだけがそれに気づいていた。

こんにちは、筆者のレンズマンです。

この小説はカクヨムで連載しているものと同じ内容です。一人でも多くの人に読んでほしいのでなろうでの掲載にも挑戦してみました。

プロローグ以降は毎週金曜日の更新を予定しています。

シダラと仲間たちの冒険譚を是非読んでみてください。感想をいただけたらなお嬉しいです!

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