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第47話 エピローグ 奴隷解放


 ある日のことだ、アルトが俺にこんなことを言い出した。


「エルド様、エルド教はいまやかなりの大宗教となりました。もはやエルド様は現人神です。そんなエルド様はすばらしいお方です。すばらしいエルド様はきっと、世界平和にも賛成してくれますよね」

「は……? なにがいいたいんだ……?」


「俺、奴隷制度を廃止しようと思うんです!」

「はぁ……!?」


 正直、俺は困惑した。

 奴隷制度を廃止したら、俺はどうなるんだ……?

 そんなことをしたら、俺は稼げなくなるじゃないか。


 アルトが奴隷制度を廃止しようとするのは、ゲームのシナリオと同じだった。

 アルトは正義感が強く、平民の出だ。

 だから、奴隷制度に疑問を持ち、それを廃止しようとするのだ。

 ゲームの世界では、そのせいで、エルドはそれに歯向かい、大悪人だとして裁かれる。

 奴隷制度が廃止となり、エルドは今まで虐げていた奴隷から復讐されるのだ。


 つまり、俺はアルトに逆らえない。

 奴隷制度廃止に賛成しなければならないわけだ。


「エルド様も、きっと賛成してくれますよね!?」


 アルトはキラキラした目で俺にそう言ってくる。


「あ、ああ……もちろんだ……」


 正直、奴隷商である俺の本心としては、賛成できない。

 だが、ここで反対してアルトと対立すると、破滅フラグましぐらだ。


 それに、今の俺なら、奴隷制度が廃止になっても、奴隷から復讐されることはないだろう。

 今まで奴隷にはかなり媚びを売ってきているからな。

 少なくとも、奴隷たちに恨まれているわけではないだろう。



 ◆



 ということで、アルトは全国に奴隷制度廃止を施行した。

 いろんなところで、奴隷商人たちが悲鳴を上げた。

 だが、しいたげられていた奴隷たちは、解放を喜んだという。

 それは、素直によかったなと思う。


 それで、俺の家の奴隷たちなのだが――。


 俺を恨み復讐してくるどころか、


「エルド様あああああ俺たちを捨てないでください!!!!」

「ここでまだ働かせてください!!!」

「ここにいさせてください!!!!」


 と、懇願してくるのだ。

 みんな、もう自由だというのに、俺のもとを離れたがらない。


「えぇ……お前ら、もう出ていっていいんだぞ……?」

「そんなこと言わないでください! 俺たちはエルド様のもとにいたいんです!」


 ということなので、俺は彼らを正式な労働者として雇うことにした。

 まあ、条件面はさほど以前と変わりない。

 ただ、彼らのことを奴隷ではなく、労働者と呼ぶようになっただけだ。


 ゲームの中では奴隷たちを酷い目にあわせ、復讐されたエルドだったが、

 俺は奴隷たちを正しく扱い、こうして信頼を得られた。

 おかげで、奴隷たちはみな労働者として、いまだに俺を慕ってくれている。

 やはり、人にした行いはかえってくるものだな。


 俺は、これで完璧に破滅フラグを回避した。

 もうアルトに断罪されることもないし、奴隷たちに復讐されることもないだろう。

 今後は、労働者たちを使って、さらに事業を拡大していくつもりだ。




これにて物語は完結とさせていただきます。

最期までご愛読いただきありがとうございました。


月ノみんとの次回作にご期待ください。

作者フォローしていただけますと、新作をスムーズにお読みいただけます。


気が向いたときに追加エピソードなど書くかもしれないので、ぜひフォローはそのままで!

よければ★評価よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 設定が面白くて、最後まで読んでしまいました。エルドくんの破滅回避行動が予想外の大事になっていって、「あー、またこんなことになったよww」と、笑いながら読みました。次回作も頑張って下さいね。…
[気になる点] 内容が薄い
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