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第45話 いざこざ


 疫病の患者を治療するようになって、エルド教にいくと疫病が治るという噂まで広まり始めた。

 よし、なんとかエルド教の評判は堕ちていないぞ。

 だが、おかしなことに、一向に疫病の患者が減らないのだ。

 治しても治しても、次の週にはまた患者でいっぱいになる。

 くそ、これじゃあ追いつかないぞ。

 俺は医者じゃないんだ。こう何度も患者にこられると、さすがになぁ……。


 ということで、俺は根本的な原因をしらべることにした。

 その方法は、奴隷を使ったものだ。

 何人かの奴隷を被検体にし、いろんな行動をとってもらう。

 その中で疫病にかかった奴隷の行動範囲などを調べて、疫病のもとを探るのだ。

 疫病にかかっても、すぐに治せばいいだけだしな。

 俺は奴隷たちを使って、疫病について調べさせた。


 すると、意外なことがわかったのだ。

 疫病にかかっているのは、主にエルド教の教会に出入りしている者に多い。

 おそらくは、教会の水路や井戸が原因と思われる。

 これは、エルド教のせいで疫病が蔓延しているという噂はあながち間違いでもなかったのでは?

 まずい、このままエルド教のせいにされたら、俺が断罪される未来が見える見える。

 俺は、水に向かって、回復魔法を使ってみることにした。


 すると――。

 水はあっというまに綺麗になって、汚染されていたものが浄化された。

 よし、これで大丈夫だな。

 おかげで、次の週からは患者がほぼいなくなった。

 これにて疫病は解決。

 だが、不思議なことに、エルド教の教会の水だけが汚染されていたんだよなぁ。

 俺はそのことが気になった。

 イルマンヌ教の教会も、近くに結構あるはずだが、そっちの水では疫病が発生しなかった。

 これはどうもおかしい……。


 ということで、俺は今回のことをアルトに相談した。

 アルトに調べてもらうことにしたのだ。

 すると、なんと驚くべきことがわかった。

 イルマンヌ教の教皇が、禁呪をつかって疫病を蔓延させていたのだという。

 イルマンヌ教は、今回の件で、アルトの機嫌をそこね、かなりいたい罰をうけたのだという。

 それだけじゃなく、信者たちもかなりの数減ったらしい。

 そして信者たちの多くがエルド教に改宗したそうだ。

 多くのイルマンヌ教の教会がとりつぶしになり、エルド教の教会に作り替えられた。

 なんか、結果として俺の宗教がまた大きくなってない……?

 気のせい……?





【sideガデンツ】


 私はイルマンヌ教の教皇。

 疫病をエルド教のせいにするべく、暗躍していたのだが……。

 なんと、どういうわけか、エルド教は一向に落ちぶれない。

 エルド教に関わると疫病になる、という噂を流そうとしたのだが……。

 なぜかその逆の、エルド教にいくと疫病が治るという噂が流れている。

 いったいこれはどういうことなのだ……。


 だが、まだ疫病は流行り続けている。

 私は楽観視していた。

 しかし、あるときから急に、ぱたりと疫病が流行らなくなる。

 まさか……。

 エルド教は、本当に疫病を治していたのか……?


 そんなある日、私の部屋に、王国からの使者がやってくる。

 居留守をつかったが、使者は無理やり中に入り込んできた。


「イルマンヌ教の教皇はいるか!」

「な、なんだお前らは……!?」

「貴様を疫病を流布した罪で逮捕する!」

「な、なんだと……!?」


 こうして、私の作戦は失敗に終わったのである。

 しかも、結果的にエルド教がさらに浸透する結果になってしまった。


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