新入生の自己紹介タイム
「二年生のリーダー、仲原宏太です。一年生のみなさん、ご入学おめでとうございます」
見た目からして、イケメンで明るい人だ。みんなを引っ張っていくというのは、こういう人って思わざるえない。それに比べて自分はなんて思ってしまった。
「今から一人ずつ自己紹介をしてもらいます。名前、出身地、出身校、将来なりたい学校の校種を言って下ください。そのあとは、各個人に任せます。みんな不安そうな顔してるけど大丈夫。後ろを見て下さい」
後ろを振り返ると、多くの先輩たちがいた。男女比でいう七対三くらいだろうか。
「優しい先輩たちがアシストをしてくれると思います」
少し間を置いたあと、仲原が続けて言う。
「それでは、窓側の一番前に座っている君から行こうか」
仲原の呼びかけで、男子学生が席を立った。
「あと緊張すると思うけど、前に出て下さい」
男子学生は言われた通り、ゆっくりと前に出てきた。
「それでは、お願いします」
「高宮登です。出身は埼玉県で、出身校は草加中央高校です」
俺も埼玉ーなど後ろにいる先輩たちは、お祭り騒ぎだ。おかげで幾分か緊張が和らいできた。
「将来は小学校の先生になりたいです」
それに合わせて、俺も~なんて声が聞こえてくる。
「何かアピールポイントないの?」
聞かれた高宮は、うーんと腕組みをして考えて答えた。
「これは隠しておきたかったんですけど…実は今度、歌手デビューすることになりました」
えー、ホントなの?すごい。教室中が大盛り上がりだ。
「どんな曲なの?一曲、歌ってよ」
後ろにいる先輩がリクエストした。
「じゃあ、一番だけ歌います」
右手をマイク替わりにして高宮は歌い始めた。どんな曲かと思ったら、まさかの演歌だった。とても気持ちよさそうに歌っていて、自然と手拍子が起こっていた。歌い終わると皆が拍手した。
「最後に一言だけ、お願いします」
仲原が言うと高宮が答えた。
「みなさん、よろしければCD買ってください。よろしくお願いします」
言い終えたところで、みんな拍手した。