新人教員の自殺
夜のニュース番組を見ていると「埼玉県の公立小学校に勤務する先生が自殺」という見出しが出た。自殺したのは、大学を卒業して四月から採用されたばかりの男性だった。次の日、その話題で持ちきりだった。
「おはようございます」
片山が言うと、みんなも返した。
「まず、授業を始める前に・・・みなさん知っていると思いますが、数駅先にある小学校で男性教員が自殺しました」
それに対して、何人か聞いた。
「その人、うちの大学ですか?」
片山は少し間を置いて答えた。
「他の先生方も心配になって聞いたところ、うちではなかったです。たしか、〇〇大学」
〇〇大学は、埼玉県内にある国立大学だ。当然、国立大だから競争率は高く、同級生や先輩が受験して落ちたなんて話を聞いたことがあった。そんな優秀な人材が集まる大学なのに教員関係者の間では、評判がすこぶる悪い。他の教授も「実は教えたことがあるけど、教育体制がよくない」と言っているくらいだ。
「せっかく採用されたのにね。しかも、校内で自殺するなんて」
片山は埼玉県内の小学校で勤務していたので、ショックを受けているようだった。同級生たちも動揺しているようだった。
その夜、尾崎と会った。
「江本、聞いたか教員の自殺。お前も気をつけろよ」
「いやいや、自殺なんてしないから」
相変わらず、尾崎はデリカシーのない発言をしていた。
「校内で自殺したのも驚いたよ。最初に見つけたのが校長みたいだけど、子どもだったらと思うと」
僕が言うと、尾崎は思い出したように言った。
「そーいや、中学のときに卒業生が自殺したことあったよな。あれは一番の衝撃だった」
僕はみんなと比べて、どこか落ち着いていると思っていたが尾崎の一言で思い出した。
「それもそうだけど、同級生の父親が逮捕された方が衝撃だっただろ?」
尾崎は何も返すことなく黙ってしまった。
<同級生の父親が逮捕された話は、コチラ>
https://syosetu.com/usernoveldatamanage/top/ncode/2097070/noveldataid/26590116/
中学生のとき、卒業生が自殺したことがあった。五十代の男性で、自分たちより三十歳以上も上なので面識はない。発見された日は、休日だった。場所は学校の敷地内で、最初に発見したのは部活指導できた先生だった気がする。何人かは男性が首を吊って死んでいる状態を遠目だけど見たそうだ。
なお、男性の遺書には、先代から続く会社が倒産したためと書かれていた。中学校の敷地内を選んだのは、最後は自分が一番好きだった場所で死にたいという理由だった。




