新一年生の自己紹介3
「それでは、十七番」
はいと勢いよく、返事をして前に出てきた。
「いい返事だねー」
おそらく三年以上の先輩が言った。しかし、出てきたのは同級生のもぐり役なので、気づいてなさそうな先輩にはメモを見せた。メガネをかけて、ひ弱そうな感じ。どこかで見たことあるような風貌にしている。
「日野のび太です」
一瞬、教室が静かになったあと、えっという感じになった。
「もう一度、名前を言って」
聞き間違いだよなって感じで、同級生が聞く。
「はい、日野のび太です」
「嘘だろ」
「本当です」
後ろから見ても分かるくらい新一年生は、その名前にひいているようだ。
「父親がドラえもんを好きで、この名前がつけられました」
「いやいや、言わなくても分かるって」
教室は変な空気となり、ざわざわしていた。
「最初は鈴木だったんですけど、小学校に上がる前に両親が離婚して母の旧姓の近藤になって。中学の時に母親が再婚するつもりって話になったんですが、その相手の苗字が・・・」
そこで話すのをやめ、一瞬だけ沈黙になった。
「その相手の苗字が、日野ってこと?」
「そうなんです。だから、母はなかなか再婚に踏み切れなくて。でも、僕の名前のせいで何年も待たせてしまったので、高校卒業を機に再婚していいよって話をしました。今はこの名前ですけど、結婚したら婿養子になるつもりでいるので今だけです。あと余談ですが弟がいるので、自分が婿になっても大丈夫です」
そっか、大変な決断したね。誰かが言ったが、あとで嘘っていうので切なくなった。




