母親の真に受ける性格
「そういえば、埼京大って、そこまでお金かからないわね」
ふと母親が言った言葉だ。僕もそれを聞いて、たしかにと返してしまった。
高校二年の頃、こんな会話があった。
「おばさんの近所の人の娘、今年から埼京大に通っているんだって」
おばさんといっても、血のつながりはない。血がつながっているのは、おじさんの方だ。家も自転車で行ける距離にあるくらい近い。親戚のお兄さん、お姉さんが通っていた中学校は、わりと荒れていると言われ評判の悪い学校だ。ちなみに僕と同世代の学年は、卒業した後に逮捕者が出ているらしい。
「その娘さん、どんな人なの?」
「定期テスト前は、すごく頑張ってたみたいね。高校時代の評定平均が、四,三なんだって」
僕はそれを聞いて努力家だと思った。その中学校は、学力も低いと言われている。ただし、僕の母校よりはワンランク以上は高い。というより、僕の母校が桁違いに低いといった方が正しいのだけれど。
「ちなみに学部は?」
「教育学部の国語専修だって」
僕はそれを聞いて、びっくりだ。 さらに母親は話を続ける。
「それと埼京大は、お金がとってもかかるみたい」
話を聞くと、午前中は大学で授業を受け、午後は近くの小学校に行って研修。サークルは、二つ入っていて、ひとつは平日が活動メイン。もうひとつは、土曜日だけのボランティアサークルらしい。アルバイトもスーパーでレジ打ちしていて、毎日がとても忙しいとのこと。
「どのくらい、かかるの?」
「毎日、家を出るときに五千円を渡しているんだって。だから、埼京大はやめた方がいいかも」
それを聞いて父親が話に入ってきた。
「それは、おかしいだろ。週五日、大学に行ったら、月に二十日になって十万超えるぞ。だったら、一人暮らしをさせた方がいいんじゃないか」
僕は父親の言葉を聞いて、その通りだと思った。
「女の子だから、一人暮らしをさせたくなかったのかもよ」
たしかに、その可能性も十分ある。親戚のお兄さんは一回り以上年上だが、一人暮らしで大学に行った。当時は珍しかったが、やむなくだったのだ。実家から通える範囲で受けたのだが、入学の手続きをした後にキャンパスを間違えていることが分かったのだ。今みたいにインターネットで気軽に調べられれば、そんなミスはなかったのだが。
「その人、けっこうオーバーな人で近所の評判も悪いみたい」
母の言葉に対して、父親が鋭く言った。
「だったら、そんな人の言うこと真に受けるなよ」
よくよく思えば、娘の高校時代の成績をペラペラ話す人だ。本人ならまだしも、おかしいのは間違いない。それに午後は近くの小学校で研修って何だろう?ボランティアで授業の補助に入っているなら分かるけど、そんな授業は一切ない。交通費がものすごくかかるらしいが、どこまで行っているんだろう?
もしかすると、サークルの交通費ではないだろうか?それも授業だと偽って。午後も三限、四限に必修授業が入ることもある。いずれにしても、おかしい親子のような気がしてならない。たぶん、教員にはなってないと思う。
2025年12月21(日) 追記
すでに母親が真に受けた話を書いてました。
<大学生と定期代>
https://syosetu.com/usernoveldatamanage/top/ncode/2097070/noveldataid/27123949/
2025年12月27日(土)追記
小中時代の同級生の母親が、地元民に寮生活のことをボロクソ言われた話。
<大学生と寮生活>
https://syosetu.com/usernoveldatamanage/top/ncode/2097070/noveldataid/26975137/




