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タッチタイピング

「辞典の入力、進んでる?」

「一週間に一回くらいは、やるようにしてるよ」

 ある授業で出た課題だ。紙の辞典に書かれている内容をエクセルに打ち込まなければならない。三十ページほどあり、計画的にやらないと絶対に終わらない。僕は春学期の反省を生かして、コツコツ進めるようにしていた。


「多摩川教育大は、パソコンの資格を取らせるようにしている。それなのに、うちの大学は何もない。全員が教員になれるわけではないんだから、教員になれなかったときのことも考えないと」

 教授が課題を出すときに言っていたことだ。僕はそれを聞いて、たしかにそうだと納得した。


 多摩川教育大というのは、都内にある私立大学だ。埼京大と同じように教育学部があり、高い評価を得ていた。多摩川教育大も受験したという同級生も多い。インターネットの掲示板では、ライバル関係で仲が悪いと書かれていたが、そんなことはない。僕には多摩川教育大の知り合いすらいない。


「タッチタイピングの上達になるから、いいんじゃない?」

 僕は言ったが、みなの反応はこうだ。

「たしかに、できるようにはなったけど、先生の雑用って感じがして嫌なんだよ。しかも、こんなに時間がかかるのに、もらえる単位はC。先輩たちみたいに落とされないだけマシだけど、B以上ってどうやったらもらえるんだ?」

 たしかに、その通りだ。実際、学生の評判は悪く、こんなにやったのに単位すら出ないと事務職員にクレームを入れた話を先輩から聞いていた。わりと大きな問題となり、教職員の間でも評判が悪いのは間違いない。僕はこのとき、コツコツ進めるというのが好きだということに気づいた。

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