大学の文化祭
十月末の金、土、日の三日間、埼京大は文化祭だった。クラスでお店を出すことになり、クレープをやることになっていた。
「部活、サークルがある人は、そっちが優先か」
「そりゃ、そうだよ。うちらみたいな無所属組がやるしかない」
「参加人数が増えれば、シフトも減るし」
「いやー、マジで面倒くさいな」
文化祭には参加するつもりではいたが、強制的に働かされるって空気があった。僕はそれが少し嫌だった。
「まあ、みんなで乗り切ろうぜ」
金曜日は、平日ということも学内の人が中心だった。シフトがない間は数人で回ることになった。
飲食店は、どこも売ることに必死だ。特に後輩の頼みは断れないという日本の悪しき習性を利用して、先輩に声をかける。もちろん、自分たちもターゲットになり、他のクラスの同級生には声をかけられる。最初は普通に買っていたが、後半はお腹いっぱい。というより、むしろ腹の調子が悪いような。財布からお金が消えていく。
土日は多くの人がやってきた。卒業生、学生の保護者、受験生だけでなく、地域の人がやってくるのが埼京大の特徴だ。近くの小学生も遊びに来たって感じでやってくる。高校の同級生に声をかけていて、数人が来てくれた。
「埼京大、遠いな」
「でも、駅からはそう遠くないし、河川敷もあってきれい」
「田舎だと思ってたけど、わりと店もあるしな」
僕はせっかく来てくれたが、同級生にクレープを売りつけた。
両親もどんな感じか気になって来てくれた。
「あら、雰囲気いいじゃない」
母はあまり埼京大に進んでほしくないと思っていたようだから、少し印象がよくなったようだ。
「毎日、遠いのに頑張って通ってるな」
父も雰囲気は悪くないと思っているようだ。
三日間、無事に終わった。やはり感想としては、文化祭は高校のときの方が楽しかった。吹奏楽やれてたらなあと思っていた。




