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反省文

 十月に入り、本格的に秋学期がスタートした。

「掲示板、見ておくか?」

 同級生の言葉で、掲示板を見ていた。僕は春学期に注意されたので、週二回以上は必ず見るようにしている。掲示板に自分の学籍番号が貼られていることに気づいた。何で貼られてるんだろう?と思いながら、手に取った。


「ごめん、ちょっと窓口に行ってるから先に行ってて」

 僕はそう言って、窓口へ向かった。学籍番号の書かれた紙を渡すと、職員がほんの少し怒鳴った。

「あなた、奨学金の説明会をすっぽかしてます。二度目ですよ、反省文、書け」

 僕はそう言われて、びっくりした。しかも、きちんと見ていたはずなのに。見落としていたことにショックを受けた。これはまずいことになったと思い、すぐに反省文を書くことにした。次の授業は出席を取らない木本先生の授業なので、同級生に訳を話して図書館へと向かった。


 図書館には、個別で勉強できる席がいくつかあった。僕は空いてた席に座り、反省文を書き始めた。急なことなので、紙は授業で使っているルーズリーフだった。授業時間内に書き終え、昼休みに提出しに行った。


 僕は正直に今回は見落としたことを書いた。同級生にも奨学金を借りていることを話していないため、情報が得られないこと。実際、定期代や教科書代を自分で出していて、生活が苦しいことも書いた。

 すると、それを読んだ職員は、少しショックを受けているようだった。次回の説明会の案内をされ、なんとかなった。もしかしたら、打ち切られる可能性があったかもしれないと思うと僕は怖くなった。


「奨学金、借りてたんだ」

「反省文、書けって、ヤバかったんじゃね?」

 同級生の大半は、自分のことを中学から私立に通うお坊ちゃま君だと勘違いしているから驚いているようだった。

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