新入生オリエンテーション2
宮森による説明は続いていた。
「うちの大学は、春学期と秋学期の二学期制です」
四年間で八学期。124を8で割ると、15,5。一学期で最低15単位を取らないと卒業が危ないな。そんな計算をしながら話を聞いていると…
「一学期で最低15単位を取れば大丈夫だと思った方がいると思いますが、四年生になると教育実習、教員採用試験や就職活動で忙しくなります。だから、三年生の秋までに、ほぼほぼ単位を取り終えておくと卒業がスムーズになるでしょう」
まるで頭の中を見られているようなことを言われて、少しドキッとした。
「ちなみに私の学生時代ですが、三年の秋が終わった時点で80くらいで」
教室中、あれって雰囲気になった。
「だから、四年のときは大変でした。私の場合、就職しないで大学院に行くつもりだったから、まだよかったけど。新入生のみなさん、しっかり勉強をするように」
まさかのカミングアウトに驚く教室。でも、今は大学教授だし、きっと努力したんだろうなあ。
「それから出席に関してですが、担当する授業や先生によって取る・取らなかったりがあります」
大学は出席を取らないことがあると聞いていたが、本当だったことを知った。
「出席を取る場合ですが、三分の一を休むと単位が出ません」
「基本的に授業は週一回で、一学期でだいたい十五回あります」
「つまり五回休むと単位が出ません」
これを聞いて普通に出席していれば、問題ないと思った。宮森は続ける。
「ただし、ここからが重要。カレンダーの関係で、十五回やれない場合もあります。特に月曜日がハッピーマンデー法のおかげで休みになることが増えたので、少なくなることがあります」
2001年に施行された法律で、月曜日が祝日となり休みになることが増えていた。
「それから先生の都合によって、やむをえず休講になることがあります。そうなると授業の回数が減るから、五回休んでないのに単位が出ないなんてこともあります」
毎年、出席日数でクレームが入るので、これは気をつけてほしいと念も押された。
「だから、私は学生時代、カレンダーを見て授業が何回あるか数えて…何回休めるか計算して」
指を折りながら言うと、一部の新入生が笑ってしまった。
「そんな計算しないで、全部出席しましょう。授業料だって、だいたい親が払っているんだから」
といった感じで、オリエンテーションが終了した。