Cは厄介者
今日から、秋学期の授業が始まった。僕は春学期の反省を踏まえ、必修科目を確実に取るために履修する科目を減らすことにした。大学によっては履修制限というのがあり、取得できる単位数が限られている。ちなみに埼京大のもうひとつのキャンパスでは、採用されていた。
「おっ、みんな来てるな」
木本が教室に入ってきた。チャイムが鳴り終わると、授業が始まった。
「今日から秋学期が始まりますが、まず春学期の振り返りをしますか」
木本がチョークを手に取り、黒板に板書をした。いつ以来?いや、初めてかもしれない。
AA、非常に優れていた者
A、しっかり勉強した者
B、普通に勉強した者
「こんな感じになりますか」
木本が言うと、教室があれっとなった。Cが書かれていなかったからだ。
「あの先生、Cは何ですか?」
廣川が聞くと、木本が苦笑いをして答えた。
「テスト前にも言ったけど、Cだけは取らないようにって。つまり、Cは厄介者」
そう言われて、みんな察した。
「春学期、Cだった者。次は取らないように」
授業後、みんなと評価について話になった。
「あの先生、絶対に単位くれるってことだね」
「落としたら落としたで、先生も大変ってことか」
「だからって、次は勉強しないと」
すると谷岡が言った。
「去年、落とした先輩がいるって聞いたよ」
「マジ?」
その情報に、みんな驚いていた。谷岡は続ける。
「名前だけ書いて、あとは白紙で出したんだってさ」
「それはヤバすぎるだろ」
結局、その先輩は「パティシエになりたい」と言って、退学したとのこと。
「たしか三年の先輩も、二人やめてるらしいよ」
「長期休み明けに、あっそうの一言で終わったんだとか」
「いくらなんでも、それは寂しすぎるな」
「うちらは誰もやめずに全員卒業しよう」
そう言われて、みんな一致団結したような感じになった。




