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春学期の成績発表

 九月十日(金)、春学期の成績発表日だ。七月末以来、四十五日ぶりの登校となる。午後はクラスごとの集まりがあるので早く行っても疲れるだけだと思い、昼前くらいに着くように出発した。電車に乗ってる途中、同級生から連絡が来た。


おはよう、成績受け取った?どこにいるの?

俺は追試でなんとか取れたけど、地理、残念だったね。


 僕はメールを見て、どういうことだ?と思った。たしかに地理は手ごたえがなく、落としたかもと思っていた。しかし、追試って何のことだろう?僕は返信した。


おはよう。まだ電車の中だよ。

たぶん着くのが、12時前くらい。

地理の追試?何のこと?


 少し時間が経って、メールが返ってきた。


地理なんだけど、六十点に届かなかった人は追試があったんだよ。

クラスの半分はいかないけど、けっこうな人数が受けてたね。

対象者は、五十点から五十九点の人。

俺、五十三点だったから、十点満点のテストで七点以上取れれば合格。

そのとき、四十九点以下が三人いて来年も受けてもらうって先生が言ってたよ。


 僕は追試のことを全く知らなかった。しかし、なぜ僕だと分かったんだろう?根本先生が名前を言うとは思えない。少し不思議に思いながら返信した。


何で自分だって分かったの?

まさか、先生が言ったの?


 すぐに返信が来た。


いや、名前は言ってないよ。

まず、俺もだけど追試を受けた人は、絶対に違う。

もうみんな成績もらってて、二人は分かったから。

あと一人は?ってなって、消去法で江本しか残ってない。


 何ということだろう。僕は必修科目を落としていることにショックを受けていたが、自分が成績を見る前に特定されてしまうことに驚いていた。しかし、追試を受けられないほど、てきてなかったとは思えなかった。


 大学に着くと、学部ごとに分かれて学生が並んでいた。成績を受け取るとき「一年生は十時から十一時ですよ。時間は守ってください」と注意された。どうやら学年ごとに指定の時間があったようだ。僕は「すいません」と一言だけ謝って、成績表を受け取った。


 封筒に入っていて、中に紙が入っていた。左側に科目が書かれていて、右側に評価が書かれていた。僕は出来がよくないと分かっていたが、ショックを受けた。必修科目、選択科目の二つ、落としていた。もちろん、その一つは必修科目の地理だった。


 ただし、嬉しいこともあった。AAという最高評価が体育以外で、ひとつあった。とはいえ、全体で見ると残念な成績で、今までで一番悪かった。ちゃんと勉強してないというより、学習環境が整っていないことが原因だ。僕は家庭の経済事情を恨んだ。

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